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「じゃあ、ヌナが持ってて!」
そう言って渡されたのは
ジュンスがいつも付けてた
黒い石が付いたリング。
私の指には大きいし
それに
あからさまに見えるのもよくないから
普段から私が付けてるチェーンに通して
ネックレスとしてさげることにした
長めのチェーンに通されたそのリングは
私のちょうど
心臓あたりにきて
なんだか力をくれる
服の上から握りしめるように
手を添えると
心のトゲトゲが落ち着いて
心がまぁるくなるようだった
向き合おうと
トオルとのことを
考えると落ち込んで
2人の見えない未来に向かって
自分の気持ちを確認することは
思ってた以上に
きつかった
仕事は
その気持ちを紛らわせてくれてたから
悲しい気持ちとか
そんなのは
見せてないって思ってたのに。
不意に
背中から抱きしめられて
びっくりしたけど
温かくて優しくて
泣けた
こんなにも ジュンスに寄りかかる気持ちが
自分の中にあることに
自分でも驚いたし
なにより…
自分の半端さが、情けなかった
傷付いて、
立ち止まって、
寄りかかろうとして?
わたし
全然向き合えてないじゃん…
こんな自分、好きじゃない
目の前で
いつだって全力で踏ん張る彼の
ジュンスの
その目にうつる私がこんなんじゃ
イヤだって
そう強く感じた
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作者名:maco | 作成日時:2020年10月6日 15時