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八十五話 過去編 其の肆 ページ6

〜五日前〜

咲雪side

私は最近、毎日のように嫌がらせを受ける。

嫌がらせをしてくる人は同じ人たちだけだったけど、そんな毎日を送っていると、すれ違う人がみんなその人たちの顔に見えて、私は無意識に逃げ出していた。


そして昨日、私はあるものを失った。





『お前さ、本当に不幸だよなぁ。生まれてから三年で家族殺されて。』

『な……なに…』

『でもお前白髪だしなぁ………親もびっくりしたんじゃね?老いてるのか若いのか分からない変なやつが生まれてきて。』


私の前に、一人の男の人が現れて、からかうような口調で勝手に話を進めていく。

この人の言ってることが良く分からなくて、私は怯えながらそれを聞いていた。


そしてある時だった。

男の人が、少しのイライラを込めて聞いて来た。


『お前、どうせみんなに好かれてると思ってんだろ?』

『え…?』


私は何がなんだか分からず、言葉に詰まった。

何も答えず、困惑する私に、その人ははっきりと言った。


『でも違ぇよ。みんな面白がって仲良くしてるだけで、本当はお前のこと大嫌いなんだよ。』

『……』


次の瞬間、私は言葉を失った。

嫌がらせはさんざんされたけど、こんなこと言われたのは初めてだった。


不思議と、男の人が言った言葉が丸々心に刺さって来る。


⦅…大嫌い……⦆


『だからお前、そんな白髪で生まれてきたんなら、家族と一緒に死んだほうがマシだったんじゃね?それか生まれてこなきゃ良かったか。…はははっ。』

『……』




“死んだほうがマシ”“生まれてこなきゃ良かった”


頭が真っ白になった。心にぽっかりと穴が開いたような気がした。

「ダッ」

気がつくと、私は走り出した。


外に出て、喋ろうとした。

でも―――――





⦅声が…出ない。⦆


喉を空気がすり抜ける。

何も聞こえない。


⦅なんで…?⦆


私は喉に手を当てる。別に痛くない、怪我はしていない。

でも、声が出ない。



_________________私はその日、声を失った。




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ねぎとろ丸(プロフ) - 黎音さん» あ、ただの誤字ですね(-_-;)ご指摘ありがとうございます。今まで修正できてなくてすみませんでした。 (2021年2月13日 18時) (レス) id: 0f7aa38795 (このIDを非表示/違反報告)
黎音(プロフ) - 炭治郎との再会だと思うのですが、再開何を再び始めるのでしょうか (2021年2月13日 11時) (レス) id: 9cf40aceea (このIDを非表示/違反報告)
ねぎとろ丸(プロフ) - ルリーナさん» ありがとうございます( ;∀;)お優しいですね…ありがとうございます(二度目)これからも頑張ります! (2020年9月27日 9時) (レス) id: 504f2e69b8 (このIDを非表示/違反報告)
ルリーナ - 毎日楽しみにしています頑張ってください。でも無理せずご自身の体を大事にしてください (2020年9月25日 21時) (レス) id: 18617ecf20 (このIDを非表示/違反報告)
ねぎとろ丸(プロフ) - 未桜さん» コメントありがとうございます!最高だなんて、とても嬉しいです!これからも頑張りますので、今後ともよろしくお願いいたします! (2020年9月22日 19時) (レス) id: 504f2e69b8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ねぎとろ丸 | 作成日時:2020年8月4日 18時

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