困惑 ページ3
「いやー、ギリギリセーフってやつですな。」
「全っ然、ゴリゴリアウトだよ。」
自信満々にセーフを豪語する弟と、ため息をついてアウトを告げる兄。なんなんだこの二人。真逆すぎないか?
「まあまあ、先生が来てなかったから…」と、誰よりも頑張ったであろうフィンがなだめると、渋々「確かに…」と目を細める。
「てことで、限定シュークリーム。」
「はいはい、まあ、ちゃんと起きてさっさと来たからな。」
す、とマッシュが差し出した手のひらに、カサッと茶色の紙袋を置いた。なんやかんやあげるあたり、優しいんだなと思う反面、弟に似てお人好しなのか?なんて考える。
「ちゃんとあげんだな。」
「そらな。約束は守ったわけだし。」
「貴様のように性格が悪いわけではないしな。」
「んだと黙っとけクソピアスが!!」
ビッと中指を立てるが、スカシピアスはなにもなかったかのように、「先生来ないな」とフィンに話しかけていた。死ね。いや五回は殺す。
Aが渡した袋に書いてあるロゴは、最近人気で張り込んでいても手に入らないと噂を聞くシュークリームの店である。
その袋が手の内に入った途端、マッシュはかつてないほどに目をキラキラと輝かせた。
「やった。これで今日も平穏に暮らせる。」
ありがとう、とAの目を見つめてそう言ったかと思うと、ガラスを扱うかのように丁寧に懐へとしまい込んだ。
Aはその様子を見て、嬉しそうに目を細めると、「いーっつの。」と照れたように耳を触った。
…あれ、自分で触るってことは、弱点でもないんか?なんて考えがよぎった時、先生が教室に入ってきた。
「すみません遅れてしまいました。早速授業をはじめますよ。教科書25ページを開いてください」
いそいそと入ってきて急に始まった授業だが、隣でしっかりと教科書を開いていく横顔に、オレはまたずくんと何かがのしかかる。
あー、これはあれだ。一回実践して結果を見ないと、オレはまた願っちまう。
「おい」
小さく声をかけると、ぱっと顔をあげてオレを見つめる。
絡め取れそうなその視線に負けじと、わざと耳の近くに顔をやる。
「お前、前先生が言っ」
「ひうっ」
「………え?」
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みんちょ - 最高!!!!!もっとやっちゃえ!!ドット君んん!!!! (3月29日 13時) (レス) @page8 id: 0797d1e760 (このIDを非表示/違反報告)
ありさん(プロフ) - 大好きですほんとにもういつも素晴らしい作品を書いてくださりありがとうございますこれからもずっと応援してます!!!!! (2月25日 9時) (レス) id: d57e220c95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らんぬ x他1人 | 作成日時:2024年2月25日 8時