誘惑 ページ2
あれから一度気になってしまうと、頭から離れなくなってしまう。
現時点で、既に数日が経過していると言うのに。
もやもやしたまま教科書やらなんやらを鞄に入れ、いつも通りに部屋を出る。
「あ、ドット。おはよう」
「…おう、はよっす」
いつものことだが、朝に弱いコイツのする挨拶は、声が低い。この時が一番マッシュと似ているな、とぼんやり考える。
「マッシュ達もう起きてると思う?」とオレに尋ねてきているが、きっと答えはわかりきっているはずだ。「どーせ寝てんだろ」と、ふんと笑って告げれば、「だろうね」と薄く笑みを溢す。
マッシュよりも表情筋は動くし、ちゃんと喋れる。マッシュ並に筋トレはしていなくてもほどよくついているきんにそして耳が弱いかもしれないという可能性がある。
背を向けた時にふいに視界に入った耳が、オレの思考をかき混ぜた。おかげで考えに考えが食いぎみに重なるという、頭おかしい現象が起きた。
「ハァーーーーッッッホンットこの世界嫌になる!!!」
「びっくりした。どうかしたの?」
ゴッと額に拳を当てたオレに、肩をびくつかせて振り返る。ノックしようとした手が宙に浮いたままである。
びっくりした、なんて微塵も思ってなさそうだが……と思いつつ、別に。と返す。
すると、ガチャ…と扉が開いた。
「もう、なんのお……__あれ、Aくん!?それにドットくん!」
出てきたのはフィンだった。
制服を傍らに持って出てきた彼は、「もうそんな時間!?」と叫ぶと、ドタドタと戻っていく。
「……やっぱ起きてなかった」
「にしてもいつも以上だろ…」
いつもはまだ制服は着てた、なんて話していると、奥で「起きてよマッシュくん!!寝坊ーー!!」と聞こえる。
「オレが起こそうか?」と淡々と述べるAは、やはり兄だと感じる。
「おい、そろそろ時間だぞ。」
いつの間にか現れていたクソスカシピアスが時間ギリギリを告げ、マジ?とAは頭をかく。
「マッシュー、起きねえなら昨日買った限定シュークリーム食べるから。」
そう言い残すと、たっと駆け出したA。そういや買ってたな、なんて思いながら、オレはあとを追った。
365人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みんちょ - 最高!!!!!もっとやっちゃえ!!ドット君んん!!!! (3月29日 13時) (レス) @page8 id: 0797d1e760 (このIDを非表示/違反報告)
ありさん(プロフ) - 大好きですほんとにもういつも素晴らしい作品を書いてくださりありがとうございますこれからもずっと応援してます!!!!! (2月25日 9時) (レス) id: d57e220c95 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:らんぬ x他1人 | 作成日時:2024年2月25日 8時