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「治せるんでしょ?」
「な...っ、なんでそれを、」
「ランスくんが話してたから。...ランスくんにしたんだね、ちゅー。」
ふてくされながらじっとオレを射抜くように見つめるマッシュの視線が、ちくちくではなくぐさぐさ刺さる。どうしようか、と嫌な汗を背中にかきながら、見つめ返す。
でもさっきから「キス」じゃなく「ちゅー」っていうところが山育ちって感じ出ているな、と遠く考えていた。そして、「いや、あの」とまとまっていない考えを口に出す。
「ちょっと待って本当、御幣しかないから。あれはランスさんから「治せ」って言われたから直しただけで…!」
「ふーん...じゃあボクもそうしたらしてくれるんだね?」
「は!?いやそれは...って何してんの!?」
考えている途中ふと顔を上げると、マッシュがぎりっと強く唇をかみしめていた。
さっきは無意識に噛んでいたが、今回は故意に嚙み締めたこと、そしてマッシュは押し戸か引き戸かがわからないと扉を吹っ飛ばすという、頭のおかしい力加減により、ブシャッとえげつない量の血を噴き出した。
「馬鹿!」と頬を摘まんで引っ張る。効果があるのかしらないが、マッシュは唇を噛みしめることをやめた。だが、血がおそろしいくらいに流れているその唇で、「あっえ...」と母音を発し、オレをまた見つめる。なに、なんなんのその視線。
「...こうでもしないと、_____」
「?...こうでもしないと、なんだ?」
「...こここ、こうでもしないと、治してくれないかなと」
明らかに怪しい。絶対にさっき言おうとしていたことと違うな、コイツ。
このマッシュ・バーンデットという男は嘘がつけない。嘘をつこうとすると、先ほどのように痙攣し、まともに話せなくなる。正直だが、それが逆に仇となってしまう瞬間だってあるはずだ。そう、今のように。
「....オレのことなんだと思ってんの?」
「...浮気者」
「浮気者!?」
心外極まりない。オレは人生で一度も浮気なんてしたことはない。まあ、単純に彼女が永遠にできていないだけだが。まあ、
*
「...で、保健室に送られて治してもらってきたんだね。マッシュ君。」
「おかしい。どうしてランス君はいいのに、ボクはダメなんだ...??」
(多分、というか確定だろうけど...A君強制だったんだろうな...)
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人間 - 好きです!応援します!!!! (3月31日 23時) (レス) id: 89c49f19f9 (このIDを非表示/違反報告)
みんちょ - えええ、いや、めちゃくちゃええ。……なんやこの満足感は……マッシュ君もっとやっていいよ(?) (3月27日 23時) (レス) @page28 id: 0797d1e760 (このIDを非表示/違反報告)
むぎちゃ(プロフ) - えってぃだ……!! (3月4日 3時) (レス) @page23 id: cc2beb923e (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 男主、受け攻めとかありますか? (2月18日 11時) (レス) id: b90a85c5d8 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃむ - 題名に釣られて来ちまったよぉ…なんでこんな神作思い付くんです??続き楽しみに待ってますっ!!あとこれって原作のどこらへんで起きてる話ですか? (2月14日 9時) (レス) @page12 id: b02cacdca3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らんぬ | 作成日時:2024年2月11日 23時