TOXIC【東海オンエア】

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としみつside

どうやら日本酒で酔ってしまったらしいAは、壁に背中を預けてうとうとしていた。
あ、待って、今の顔バカ可愛い。
テーブルに置いたスマホのカメラを起動して、半分寝ているAを撮る。

虫「日本酒ダメとか知らんかったわ」

ゆ「ごめんね、俺が飲ませちゃったから」

虫「ゆめまるは悪くないよ、Aが自分で飲みたいって言って飲んでたんだし」

そう言って立ち上がった虫さんは、自分の持ってきていたブルゾンをAの膝に掛けて頭を撫でてまた元の席に戻って行った。

「ん〜〜…」

虫「A起きたの？」

「…から、……で、」

虫「なんて？寝言？」

なんでもするから、嫌いにならないで。

向かいに座っていた虫さんには聞こえていなかったみたいだが、俺にははっきりと聞こえた。
こいつの頭にこびりついて離れない、元カレとの記憶。ボロボロになるまでAを傷つけた、顔も知らない男に苛立ちを覚える。

ぐっと眉間にシワを寄せたAは、うっすらと目をあけてこちらを見た。

と「A」

「…としみつくん？」

俺の知らないこいつの過去が、想像していたよりも遥かにほの暗くて重たいものだと改めて思った。気づかせないように笑って誤魔化していたAは、俺が思っていたよりもずっとずっと傷だらけで、今にも崩れてしまいそうだった。

と「寝顔マヌケすぎ(笑)」

「うそ！恥ずかしすぎる〜」

両頬を手で抑えて恥ずかしそうにはにかむ彼女の頭をくしゃくしゃと撫でる。俺なら絶対傷つけたりしないのに、なんて。今のこいつにはとてもじゃないが言えなかった。

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