純白のツツジ ‐緑- (ページ5)

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旅の休憩。ページ5

浜松へと停車するとブラッドホームには軽快なメロディが流れる。おまちしてましたと言わんばかりに若いお兄さんが数人待機しており、メロディに合わせて体操が始まった。

隆平は体を伸ばしたい気持ちもあったが何よりもアイスクリームが食べたい。姉にも頼まれてることもあって、駅に着くとすぐ小さな売店へと足を運ぶ。

「あっ、アイスキャンデーしかないんですか？」

「あら知らないの？戦争の時に軍用物資として材料ほとんど送っちゃったらしくてね。アイスキャンデーしかまだ生産されてないのよ～。」

街がかなり復興してたとしても、戦争の爪あとはまだ日本のいたるところに隠れている。少しブルーな気持ちになりながらアイスキャンデーを二本購入し、余ったお金でカルピスを二杯購入する。

店員さんがお情けなのか、ちょっと濃い目に薄めてくれて隆平は笑顔になる。

車内に戻りアイスキャンデーとカルピスを台の上におくとブラッドホームから聞こえていた音楽が止まり、ちょうどいいタイミングでAが戻ってきた。

「あっ、アイスクリームやっぱ売ってなかったんか。でもカルピスあるじゃん。」

「はい、お釣り。はやくアイスクリーム食べたいよねぇ。」

太平洋戦争が起こる前、Aと隆平は一度だけアイスクリームを食べたことがあった。口にした瞬間、ひんやりとした刺激とふんわり広がる甘みが美味でまた食べられる日がくることを大人になっても楽しみにしていた。

Aはお釣りを受け取り、今は仕方ないとアイスキャンデーを口にした。