純白のツツジ ‐緑- (ページ4)

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旅の途中。ページ4

「わぁ、姉ちゃん見て！あれって富士山？」

はじめてみる東海道の景色に姉より５つ年下の弟は限りない感動を覚えた。姉も富士山をはじめてみたのだが、興奮して声を出すことなくただその景色に圧倒される。

「そうだね。ここまできたらあと半分ぐらいかな……」

特急とはいえ東京から大阪まで９時間ほどの時間を費やす。最初のうちは列車の外から見える景色を見たり、持ち込んだお菓子を食べたりで楽しいのだが、２時間ほどすると似たような景色に飽きてき、苦痛を感じ始める。

「お姉ちゃん眠くなってきたし寝ようかな。隆平寝てもいい？」

「次の停車駅で柔軟体操があるらしいし、それだけして寝たらぁ～？」

東京・大阪間の長距離を走る列車に乗る乗客は、途中の停車駅浜松で柔軟体操に参加できる。五分間ほどある停車時間のうち三分が柔軟体操で終わってしまうが筋肉がほぐせて気持ちがいいのだ。

「ちょっと疲れてきたし、柔軟体操だけでも受けるとするかぁ。」

Aが大きなあくびをすると隆平も釣られてあくびをする。兄弟同士、似るところはやはり似るみたいだ。

「あ、でも僕駅の売店にアイスクリームを買いに行こうかな。ちょっとは贅沢してもいいでしょ。お願いAおねえちゃん!!」

アイスクリーム……!!甘いものが欲しくなった姉は隆平に二人分買ってくるよう伝え、60円を渡した。隆平は60円を見つめ嬉しそうな顔をし、姉に感謝の気持ちを伝えるのであった。