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「……きです。」
「すみません、蝉の声が五月蝿くてよく聞こえませんでした。もう一度聞いても?」
「好きです。HiMERUさんのことが好きなんです……」
「え、」
「すみません、迷惑なのはわかってるんです……!でもっ、あなたが努力している姿が眩しくて、気づけばあなたばかり目で追うようになっていました。」
「あ、あの、」
「っすみません……!私帰ります」
「待ってください!!HiMERUは迷惑だなんて思っていません。でも、HiMERUにはわからないのです……恋というものが」
「それは、返事ですか?」
「…………」
「じゃあこれ、持っててくれませんか」
「指輪……?」
「ペアリングです。HiMERUさんの中で恋が何なのかわかるまで、持っていてくれませんか?もし私に向ける感情が恋ではないとわかったときは、捨ててくれて大丈夫です。でも、もし私に恋をしてくれるのなら、指輪を返しに来てくれませんか……?」
「……わかりました」
「ありがとうございます……じゃあ私、戻りますね。時間取っちゃってすみませんでした」
HiMERUの顔を見ることもできず謝罪を述べた勢いのまま部屋を出る。プロデューサー失格だ。そう思いつつも、指輪を受け取ってくれた喜びが鼓動を早くする。耳障りな蝉の声は、いつの間にか耳に届かなくなっていた。
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作者名:とわち | 作成日時:2023年1月31日 11時