【ダイヤのA】俺が守るから

03 ページ4

東条｢……っ？！大丈夫ですか……？｣





俺がそう言うと、少女は顔を上げ、口を開いた。





『……私も貴方と同じ、高校1年生。Aと言います。いきなりしがみついたりして、ごめんなさい……っ』





少女は手で涙を拭き、ニコッと笑った。
多分、作り笑いだと思うけど。





東条｢あ、あの、ハンカチ…俺ので良かったら使って！｣





俺は、ポケットからハンカチを出し、Aと名乗った少女にハンカチを渡した。





『…ありがとう。東条…くん、だっけ。』





Aさんは、涙を拭いて、俺にハンカチを渡した。





東条｢…えっと、Aさん、って呼んで良い？
嫌だったら苗字…教えてくれない？｣





俺がそう言うと、Aさんは困った顔で、｢苗字……分からない……っ｣と言った。





俺、何余計なこと言ってんだろう……。





Aさん、また泣いちゃったじゃん！





東条｢ごっ……ごめん！俺はただ、Aさんが心配で、えっと……その……｣





俺が戸惑っていると、Aさんは慌てて手をバタつかせた。





『ごめんなさい……。あの、えと、もしかして、同じ高校……青道……？』

東条｢……！うん、そうだよ。Aさんも？｣





俺がそう言うと、Aさんはニコッとして頷いた。





東条｢えーっと、雨も酷くなってきたし、寒いし、もう夜だから、家に帰ろう？
Aさんは女の子なんだから、俺、家まで送るから｣





Aさんは再び困った顔をして、自分の服を強く握った。





A｢私……家には帰りたくないの｣

東条｢……………え？｣





俺、また余計なこと言っちゃったかな。





……Aさん、また泣いちゃった。

04→←02

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す