卵ハンバーグは知っている ページ2
私は、家から1番近い、浜田高校附属中学校に入学した。「零ならもっと上に行ける、気を遣わないで。」と言われたが、浜田中は「入試成績トップの者は、制定品、授業料が免除。3年間成績をトップで保てていれば、高校の制定品と授業料が免除。」という、非常にありがたい特待生制度がある。私はそこを狙うために、浜田を選んだ。
さすがに、私立中学の3年間の学費を、
「······零？」
真新しい制服に身を包んで歩いていると、聞きなれた声が、後ろからした。私は足を止めると、ゆっくりと振り向く。
「あれ······翔？」
「やっぱ、零か。久しぶり。」
翔は浜田の制服を着ていて、私はそれに驚く。
「久しぶり······翔も、浜田なんだ。」
「家から近いからな。つか、帰ってきたなら連絡入れろよ。俺、待ってたんだけど。」
「さすがに、時差考えたんだよ······」
「気にしなくても良かったのに。」
いや、さすがに気にするから······。
「じゃ、改めて······おかえり、零。」
「ん、ただいま、翔。」
「なにかあったら、頼れよ。」
「うん。」
「あ、それとね、私、秀明通うことになった。」
誤魔化すように言えば、翔は嬉しそうに笑う。
「良かったじゃん、愛しの黒木に会えるぞ。」
「からかわないでよ。」
ほんと、自分の事のように喜んでくれるなんて······翔は、優しいな。さすが、私の親友。
「で、翔は？クラス、どこ？」
私が訊くと、翔は何故か目を伏せた。
「どうしたの？」
「俺、秀明辞めた。」
「なんで？」
「なんでも······さ、早く行くぞ。」
「······うん。」
ま、聞いてほしくないなら、いいや。翔から言ってくれるまで、待っとこ。
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作者名：魑魅@亀更新 | 作成日時：2022年12月4日 23時
