32話 ページ33
敦side.
泉「これまで私には一片の光も無かった。でも、今日判った。私にも選択肢はあると。命を犠牲にしてみんなを助ければ、きっと私は入社試験に合格できる。」
飛行機のスクリュー音が響く。鏡花ちゃんはそれでも冷静に言葉を紡ぐ。
泉「探偵社員になれる。なら、何も惜しくない。」
敦「止めるんだ!」
すぐ目の前に飛行機が迫る。どうにか、どうにかしないと!こんなの、こんなの、間違ってる!
ハ「突っ込んでくる!行くぞ!」
通信機から離れられない僕の首根っこを芥川が掴む。
敦「離せっ!鏡花ちゃん、聞いてくれっ!」
バタバタ動かすけど、どこからそんな強い力が出てくるのか不思議に思うくらいの力で芥川は僕を引きずっていく。
泉「ありがとう、ごめんなさい、、、。」
芥川にポイット外に投げられて、慌ててパラシュートを開く。
ドガッ!ザパッーーーン!
飛行機が白鯨を叩き落として、白鯨が海に沈む。
泉「鏡花ちゃああああん!!」
そこからはショックで何も覚えてない。気づいたら、ハーマンさんの手を借りながら陸に上がっていて。
敦「そんな、、、。」
敦「どうして彼女が、、、どうして。」
隣で派手に咳き込んでいた芥川が顔を上げた。
芥「愚か者め。光に生きる希望さえ抱かなければら無駄に散らずに済んだものを。」
敦「っー!!」
そうかもしれない、芥川の言葉を否定しきれなくて、悔しくて下を向く。
?「これで良かったのだよ、敦君。」
コツコツと足音が響いて顔を上げる。
敦「太宰さん、、、。」
その後ろには、坂口Aちゃんと知り合いだという子供たちが不安そうな顔で続いていて。
太「鏡花ちゃんは自分に克ち、街を救った。探偵社に相応しい高潔さでね。彼女は望身を叶えたんだ。」
そうかもしれない、でも、だけどっ!!
敦「彼女が死ななくちゃならない理由なんて何処にも、、、!」
太「確かに厳しすぎる結末だね。でも、そうしなくてはならない理由があったのだよ。」
理由?コンテナの奥からさらに足音が聞こえてそっちを見ると社長がちょうど歩いてくるところだった。
太「社長の異能『人上人不造』は自分の部下、つまり探偵社員にのみ発動する。」
太「効果は『異能の出力を調節し、制御を可能にする』制御能力だ。」
そうか。僕が異能をある程度制御できるようになったもの、探偵社員になったからだ。けど、太宰さんは何を言いたいんだろう。
太「そして、鏡花ちゃんは入社試験に合格した。衝突の直前にね。」
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桃桜月(プロフ) - 椿姫さん» そう言って下さって嬉しいです。なかなか勉強し続ける事って難しいですよね。私も受験が近いので、やる気がなくなったら、椿姫様の事を思い出して、後悔の無いように勉強を頑張りたいと思います。 (10月3日 20時) (レス) id: 8c24d7f3c9 (このIDを非表示/違反報告)
椿姫 - 何度読んでも限りなく涙があふれてきます。私は今年受験生なので後悔しないよう、最善を尽くすつもりです。やる気がなくなったら少しだけまた読みに来ます。素敵な物語を、ありがとうございました (10月3日 0時) (レス) @page38 id: 910387af12 (このIDを非表示/違反報告)
桃桜月(プロフ) - 華凪さん» 信じて下さって、楽しみにしてくださって、ありがとうございました! (6月7日 6時) (レス) id: 8c24d7f3c9 (このIDを非表示/違反報告)
桃桜月(プロフ) - 咲花さん» 3年なんて長い間、つきあってくださってありがとうございました! (6月7日 6時) (レス) id: 8c24d7f3c9 (このIDを非表示/違反報告)
華凪(プロフ) - 完結おめでとうございます!!いくら時間がかかろうと、主さんは必ず更新して下さると信じて、日々更新を楽しみにしておりました!最後までこの作品を見届けることができて嬉しいです!お疲れ様でした!! (5月9日 6時) (レス) @page38 id: a45e30bab6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桃桜月 | 作成日時:2022年8月21日 17時