探偵チームＫＺ事件ノート×文豪ストレイドッグス。ハート虫は知っている。

39話 ページ39

翼「完璧な証拠になるよ、これで逮捕は確実だ。」

私は、大きな息をついた。良かったぁ。

翼「安楽死がいいのか悪いのか、問題は残るけど。でも、とにかくこの事件は終了だ。
すっごく面白かったよ。刺激的だった。」

翼が、この世のものとは思えないほど素敵な笑みを浮かべて言った。

立「探してた新しいものとか、自分を生かせそうな道とか、KZの活動で見つかった？」

翼「ん、でも、教えないよ？」

前かがみになり、青く見えるほど澄んだその目で私を覗き込んだ。ああ、正気が保てそうにない、頭がクラクラする。

間もなく警察がやってきて、私たちに事情を聞いた。若武が得意になってスポットライトを浴びているオペラ歌手のように大きな声で説明した。点滴バッグの中の成分について翼の証言は、イマイチ信じてもらえず、警察で分析することになった。

警「君たち、ご苦労さま。だけど子供がこんな事に首を突っ込むのは、感心しないな。」

そしてたっぷりお説教。全然褒めてなんてもらえなかった。パトカーで送ってあげるからちょっとまってて。そう言われて病院の前でみんなで待っていた。

玄関にある電灯にハート虫が沢山集まっているのを見ながら、私は、自分が医務室から逃亡してきたことを思い出した。
今頃、どんな騒ぎになっているだろう、、、
翼も同じ気持ちみたいで事件を解決した割には元気がなかった。
若武は、自分が目立てなかったことをひたすらに悔やんでいて、上杉君は、そんな若武にため息をついていた。

若「くっそ、明日テレビ局に乗り込んでやる。」

黒「点滴の麻酔成分の匂い、前から知ってたのか？」

翼は、サラッと髪をゆすって首を振った。

翼「いーや、上杉が親の医院から色々持ち出してきて、それを嗅いで記憶しとけって。鼻が痛くなるほど頑張った。」

若「お前、ほとんど犬みたいに期待されてんだなあ。」

私たちは、顔を見合せた。すごく努力した挙句、こんなこと言われて翼は、すごく傷つくだろうし、どんな反応をするのかなって。私は、ハラハラした。

多分、若武はそれによって今後を決めるつもりだろうから。つまりこれは、若武が翼に出したテスト。
かっこよく無視して若武が思わず笑っちゃうような返事をするのがいいんだ。

息を殺していると、やがて翼が天井を仰ぎ大きな声を上げたんだ。

翼「わおぉぉぉ〜んっ。」

それは、犬の遠吠えだった。皆が唖然とし一斉に笑いだした。若武が翼の肩を抱き寄せる。

若「感謝する、ありがと。」

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