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「......潔...くん？何...やってんの？え...どゆこと？何...コレ...？」
イヤホンから聞こえる息遣いに、思わず眉をひそめてしまう。......気の毒である。
「......違う...ごめん...その...だって...」
「急にボールが......来たから......」
「......は？」
およそ２分前。戸惑いが揺らめく中で無理矢理始まった、絵心の「入寮テスト」と呈された、「エゴイズムテスト」。
五十嵐栗夢をオニとした“オニごっこ”がスタートしたルームZ。
序盤、五十嵐栗夢は蜂楽廻の手を借りえど、國神錬介にボールを当てた。
以降、五十嵐栗夢と蜂楽廻の卑怯ととれる行為の中。オニは
五十嵐栗夢→國神錬介→潔世一
と、交代していった。残り45秒を切ったとき、またもや蜂楽廻の妨害。五十嵐栗夢が負傷した。
潔世一は、五十嵐栗夢を狙うが、一歩手前で踏みとどまる。
蜂楽廻が、奇行をなし、潔世一目がけて自らボールを奪いに出た。
蜂楽廻は潔世一へパスを出し、潔世一の足は吉良涼介へボールを蹴っていた。
「フザけん......」
「お疲れ。才能の原石共よ。ここでは結果が全てだ。」
「敗れた者は出ていけ！吉良涼介、失格！」
言い切ってしまった。絵心は随分キツい物言いをする。彼らはまだこの寮に来て1時間とたっていない。
『絵心......なにもこんな急じゃなくてもさ、......あ、ほら！入寮テストとか言っておいて、みんなの実力を試す為なんだよね！』
「......」
......ホントは、分かっている。絵心はそんな中途半端な気持ちじゃない。そんなわけない。
だけど、そう思いたくなってしまう。俺はこんなにも感情移入をしやすい方だったか、彼らの夢の終わりが苦しい。
「......フザけんなよ」
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作者名：とうしろ | 作成日時：2022年9月4日 1時
