主と光忠「手入れと誉」 ページ1
近侍が出陣していた部隊の帰還を報せにきた。
今日は先日本丸に迎えた短刀たちの初陣で心配ではあったが、隊長の光忠が無事に連れ帰ってくれたようだ。
出迎えた連中の中から私を見つけて、早速笑顔で報告に来てくれた。
「おかえりなさい」
「ただいま、ちゃんと無事に帰ってきたよ。
道中で資材も見つけたから、先に置いてくるね」
無事に…確かに隊員の者達は皆無傷で、今はご褒美の団子を食べてはしゃいでいる。
しかし光忠本人は、ところどころに小さな傷が見受けられた。
「光忠」
どこか急いだ様子で私の横を通り過ぎる彼を呼び止める。
「あとで手入れ部屋まで来ること」
一拍置いて「分かった」と返事をした彼は、少し肩を落としたように見えた。
「主くん、入るよ」
手入れ部屋で準備しながら待っていると、外から声がかかる。
「どうぞ」と言って襖が開くのを見ると、そこには光忠が立っていた。
「どうしたの、そんな暗い顔して」
「………」
先程とは違い暗い顔をした彼に声をかけると、視線を逸らし、目の前の座布団へやってきた。
「ごめん」
そこで漸く彼は口を開き、呟くように謝る。
「皆を無事に帰すことだけを考えてたら、自分が傷だらけになっちゃった…本当にごめん」
何故謝る？傷を負って帰ってきたことを謝罪される意図が分からず、首をかしげていると
「だってほら、僕は太刀だから、手入れに時間はかかるし…資材だって沢山必要じゃないか…君のために頑張ったけど、これじゃ格好がつかないよ……」
なんだ、そんなことを気にしてたのか。
そんなことで怒るはずがない。
「何を言ってるの、光忠はきちんと皆を連れて帰ってくれたし、何より貴方も折れずに帰ってきてくれた。
…あの子たちを守ってついた傷なら、私から感謝すべきだわ。
今日の誉は光忠、貴方よ」
そう言って俯いたままの頭を撫でてやると、「ありがとう」と揺れる声で呟いた。
「けど、傷を隠そうとしたことは良いとは言えないね。
だから、手入れの間、ご褒美のお団子はおあずけです」
光忠の額を人差し指でつつきながら告げると、彼はその指をゆるりと握って苦笑混じりに返してきた。
「やだなぁ、こうして二人で居られるだけで、僕には充分ご褒美だよ」
…確信した。
こいつはきっとわざと怪我をして帰ってきた。
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悟空の頭撫で隊(プロフ) - ユキさん» たいへん申し訳ありませんでした！！Twitterのほう拝見させてもらいます！！ (2019年4月8日 20時) (
レス) id: 54631da30d (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 悟空の頭撫で隊さん» ご感想ならびにリクエストありがとうございます。申し訳ありませんが、説明文に記載しましたとおり更新は終えましたので、現在リクエストは受け付けておりません。機会がありましたらTwitterの方では書いてみようと思います。読んでいただきありがとうございました。 (2019年4月8日 15時) (レス) id: a6147e044e (このIDを非表示/違反報告)
悟空の頭撫で隊(プロフ) - とってもおもしろかったです！リクエストで、むっちゃんとの絡みお願いします！！ (2019年4月8日 14時) (レス) id: 54631da30d (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 煉獄さん» ご感想ありがとうございます！元持ち主の子孫というだけでも誇りに思いますよね(笑)似たような方にお会いできて光栄です、今後ともよろしくお願いいたします。 (2015年9月5日 14時) (レス) id: 670af7272b (このIDを非表示/違反報告)
煉獄(プロフ) - ほのぼのしていていいですね。更新楽しみにしています。因みに、私の祖先は御手杵の元主の一族らしいので親近感湧きます！ (2015年9月5日 14時) (レス) id: 3b23ac9322 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏芽 幸 | 作成日時：2015年7月4日 21時
