少しずつ ページ24
乱の持ってきたお札は恐らく政府によって作られたもので、それには神力がたくさん注がれている。
一度、前の本丸でみんなを治すときにもらったことがあった。
それをなぜ乱が持っているのか、ということだが当の本人は全く気にしていない様子だ。
蛍も先ほど落ち着いて会話ができるようになったものの心配なので休ませている。
なにからなにまで心配かけてばっかだなぁ。
そんなこんなで大広間で様子を見ているともそり、と黒いかたまりが動いた。
さっき羽織りをかけた薬研がはっとしたように起き上がる。
辺りを見回し、私の顔を見るなり目を見開いた。
「・・・大将!怪我は!?」
そう言って駆け寄り、座っている私の前で膝たちになる。
『私は大丈夫だよ。』
「・・・そうか。」
薬研はどこか切なげに微笑んだ。
私は薬研はなぜいつもどこか悲しげに笑うのかがずっと分からなかった。
鶴丸に聞いたのだ。
目の前にいる薬研藤四郎は前の本丸にいたのだと。
乱のこともあり、私にそれを言わなかったこと。それは見えないところでの薬研の葛藤だった。
『薬研、ありがとう。ずっと隣にいてくれたね。我慢しなくていいんだよ。』
そう言って腕を広げた。
薬研は口を少し開き、何かを言いかけた。
言葉の前に薬研の目から涙がこぼれた。
「俺は、誰も・・・守れなかった。
兄弟も、仲間も、大将のことも」
震える声で言葉をつなぐ。
薬研は自身の拳を力強く握りしめた。
俯く薬研の頭をそっと撫でた。
ゆっくりと顔を上げた彼は、戦場で戦う勇ましい刀剣男士ではなく少し幼げに見えた。
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シルア(プロフ) - 湧さん» コメントありがとうございます!そろそろ更新致しますので、よければまた読んで下さると嬉しいです( *´˘`*) (2017年11月17日 6時) (レス) id: 5cb09f2f76 (このIDを非表示/違反報告)
湧 - 前回から見てます!私はこの作品が大好きです!!更新頑張って下さい、楽しみにしてます! (2017年11月16日 16時) (レス) id: a9560b7259 (このIDを非表示/違反報告)
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