【刀剣乱舞】祖父から引き継いだ本丸〔漆〕 (ページ31)

今日:11 hit、昨日:12 hit、合計:36,405 hit

＊第弍佰漆拾壱章＊ページ31

〔龍舞ｻｲﾄﾞ〕

A「ｹﾎｯｺﾞﾎｯ…ﾋｭｰｹﾎｯ…」

龍舞「A～、ゆーっくり、落ち着いて呼吸な？」

2月に入っても体調は変わらず、今日も早朝から発作を起こしてしまっている

A「りゅ、ちゃ…ﾊｧｹﾎｯ…」

龍舞「ん？どーした？」

身体を起こし吸入させて背中を摩っていると、胸元をギュッと握り、俺にぐったりと寄り掛かってきた

龍舞「！薬研点滴」

薬研「お、おう」

ついに恐れていたことが起きた…

喘息発作と心臓発作が併発したらしい

だが、前からこうなった場合については話し合っていたので、薬研は戸惑いながらも準備を始めてくれている

すると、Aの目から涙が零れた

龍舞「A、だいじょーぶ。すぐ楽になるからな？」

親指でそっと拭ってやっても、涙はまた溢れてくる

発作で涙を流すなんてことは滅多にない

相当苦しくて辛いんだろう…

龍舞「薬研、刺せそうか？」

薬研「ああ。A、少しチクッとするぞ」

A「っ…ﾋｭｰｺﾞﾎｯ…」

咳の合間に素早く針を刺して固定した

さすがの機動と命中力←

数分後、ようやく落ち着いて眠った

大典太が持ってきてくれたタオルで冷や汗を拭いてやる

薬研と大典太は何も言わず、ただAを見つめていた

午前7時

ノックされ、襖がそっと開く

加州「みんな、おはよ。朝食できたけど…」

俺たちを見ると、察したように少し眉を下げた

龍舞「今日もこっちで食べるよ。2人はどうする？」

大典太「ここで食べる」

薬研「俺も。2人で持ってくるから、龍舞は待機な」

2人が審神者部屋から出ていく

加州「ねぇ、何かあったの？」

まったく鋭いなぁ(^_^;

龍舞「…2つの発作が併発した」

加州「！？」

龍舞「治療も上手くいったし、今は見ての通り落ち着いてる」

加州「でも大丈夫じゃないよね？今までこんなこと無かったよ？」

少し俯き涙目になる

加州「今年に入ってから、どんどん悪化してるじゃん…本当に春はちゃんと安定するの？」

最近は本丸にそんな不安が広がっていた

Aもそれを薄々感じ取ってしまっている

これは双方にとって宜しくない

龍舞「加州、大丈夫だから。Aは強い奴だって知ってるだろ？
お前らはいつも通り元気に過ごしていてくれ。その方がAも安心する」

加州「…だよね。ごめん。Aのこと、よろしく」

龍舞「言われなくても^^」

部屋から出ていく後ろ姿を見送り、大きな溜め息をついた

俺だって、内心すっげぇ不安なんだよ…