検索窓
今日:2 hit、昨日:11 hit、合計:4,426 hit

五話 ページ6

兼さん、堀川達呼んでくるんだろうな…早く涙止めなきゃ。必死に目を擦って涙を止めようと試みるけど一向に止まらない。

再びドタドタと床を走る音。今度は数人の足音が聞こえる。早く止めなきゃ、足音が近くなるにつれ私はあわあわし出す。スパーンと勢いよく開けられた。

「A……!!」

堀川だ。泣きそうな表情をしてゆっくり私に近づいてきた。頬を触られると、襖の音でびっくりして止まっていた涙がまた溢れ出てきた。


「ごめん…ごめんね、A…」

ぎゅうぅぅと強く堀川に抱きしめられる。……暖かい。
私も堀川の背中に手を回しぎゅっと抱きしめ返した。


「兼さん…運んでくれてありがとう」

堀川を抱きしめたまま、安堵の笑みを浮かべる兼さんにお礼を言った。


「あん時起きてたのか?」
「ちょっと意識はあったけど、すぐ眠っちゃった」


「堀川、A嬢を診察したいんだが…」

一向に私を離そうとしない堀川に呆れた表情を浮かべる薬研くん。

「堀川〜〜薬研くんが診察できないよ」

離して? と背中を二回叩くけど離れない。寧ろ抱きしめる力が強くなってる気がする。


「……っ! い…たっ」

堀川の手が腰に当たり、痛みが再び走った。バッと私から離れる堀川。さっきまであんなに離そうとしなかったのに。ふふと笑みがこぼれた。

「ごめん…!」
「もー、堀川謝ってばっかりだね」

「んじゃ、診察するぞー」

待ってましたと言わんばかりに堀川と私の間に入って聴診器を手に持つ薬研くん。


「……脱いでもらってもいいか?」
「うん…」

寝巻きのリボンを取り、脱ごうとした時二人に目がいきピタリと手が止まった。薬研くんは分かるよ診察してくれるんだから。でも

「堀川と兼さん……部屋から出てほしいな〜なんて…」

見られたくない。薬研くんにだってほんとは見せたくないのに…堀川に幻滅されたくない。


「悪いな、A嬢。二人にはここに居てもらう。
もし大将が戻ってきたらどうする。前を向いてる俺じゃ手も足もでない。」

「……わかった」

主様が戻ってくる、そう聞いた途端身体が震え寝巻きを脱ぐのにも手が震えて上手く脱げなかった。

六話→←四話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (10 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
20人がお気に入り
設定タグ:刀剣乱舞 , ブラック本丸 , 堀川国広   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ましろ抹茶 | 作成日時:2021年10月7日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。