四話 ページ5
「……そう、ですか…」
一期さん達に状況を説明し終えると歪んだ表情をしていて短刀達は涙を浮かべていた。
「今は和泉守達の部屋で休ませている。後で会いに行こう」
薬研くんは泣いている弟たちにそう言うと、近くにいた秋田くんの頭を二回撫でた。
ここの本丸は空気が淀んでいて部屋もボロボロ。
僕たち刀剣男士も身体に傷がある。刀に戻っちゃった刀剣男士達もいる。主さんは全然手入れをしてくれなくて
お願いしても殴られ蹴られ、また新しい傷が出来るだけ。分かりきっているから、手入れはもう頼まないと皆で決めた。
かすり傷なら薬研くんが治療してくれているけどストックしてあった包帯が無くなってきているみたい。
遠征にも行かせてくれない。本丸と僕たちはボロボロになっていくだけだった───。
その日、主さんは戻ってこなかった。
次の日の朝、兼さんがAの様子を見に行くと部屋を出て数分。ドタドタと音を立てながらスパーンと襖を勢いよく開けた。
「ど、どうしたの兼さん」
「…Aが、──目を覚ました!!」
「行くぞ、堀川」
薬研くんが僕の肩をポンと叩く。薬研くんも嬉しそうに笑っていた。
「──うん!」
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作者名:ましろ抹茶 | 作成日時:2021年10月7日 23時