カキツバタの花言葉 (ページ2)

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一話ページ2

「──…はっ、…はぁ、ん……あ…っ……」

揺れる身体に、苦しそうな声に脳がどんどん覚醒していく。目をゆっくりと開けると真っ暗だけど男の人が上下に動いてるのがシルエットで分かった。

「──っ！！ぁ…っ、や…」

「はあ、……はっ…ああ、起きた？」
「…や、いや…いやあぁあっ！やめて、やだ、主…様っ」
「キモチイイだろ？なあ」

主様が動く度に、お腹が痛くなる。

「い、痛…い、！！…っ、助け、て…！！」

視界が歪み頬には温かい物が流れシーツにシミを作る。
お構いなしに主様はどんどん早くなっていく。

「───出すぞ」

それを聞いたが最後視界は真っ暗になった──。

「……ん、」

次に目が覚めた時には主様はいなかった。
夢…だったのかな。あ……今日の朝餉は私が当番だ。
当番のことを思い出して起き上がろうとした時腰に痛みが走った。

「～～っ」

声にならない悲鳴を上げた。ぎゅうぅと掛け布団を握り痛みが消えるのを待つ。ポタリと手の甲に汗が垂れた。

夢じゃ、なかった……

この痛みが何よりの証拠だ。

「…ふっ、…うう…」

ポロポロと止まらない涙。スーと襖が開くのが見えて、肩が跳ねた。目を見開きその人物の名前を呼んだ。

「…か、ねさん…？」

彼、和泉守兼定は目をこれでもかというくらい大きく見開き「国広呼んでくる」そう言うとバタバタと音を立てながら走っていった。