神 様 の 娘 【刀剣乱舞】

36※不快な表現が含まれます ページ36

へし切長谷部と日本号が激しい口喧嘩を続ける中、審神者は自分の娘に槍の先を向けた。娘はそれを向かい入れるように母親に身体を向け、どうぞ、と刃先を掴んで己の腹に当てる。

母親は槍の持ち手を思い切り押した。




『っ、ぁい……！！！』




少女が悶え、畳に血が落ちる。
日本号は呆然としてその場に座り、へし切長谷部は顔を背けた。


審神者は何ともない様に槍を刺したままで横にずらしていく。浅いが長い傷を作るように時間をかけてゆっくり、日本号とAの中の神気を混ぜるように流し込んだ。


少女の瞳から涙が零れる。いたい、と声にならない悲鳴も零れる。


日本号はいつもの様子からは想像出来ないくらい、情けないほどの震えた声を出した。




「へしきり、なんだ、これ」


「お前の神気をAに流している。こうすればAの体にお前の神気が滞在して、見事父親の一員になれるぞ」


「んなの、なれなくていいだろ……嬢ちゃんを傷つけるくらいならよ」


「主が望んだ事だ。」


「嬢ちゃんは望んでんのか？まさか、あの方の意向だけでやってんじゃねぇんだろうな？」


「子供の決定権は親が持つ」




もう何も言うな、とへし切長谷部が刀を締まって日本号に言い放つ。日本号はそれにうんともすんとも言わず、自身の槍が少女の腹を裂いていく光景をじっと眺めていた。



どうしてこんなことに、と。廊下の外で待機していた加州清光が泣きながら思ったのは、全員の心の中を代表で表した言葉である。

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