神 様 の 娘 【刀剣乱舞】

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『おとう、さま達は、どうなさるおつもりで』


「出陣と遠征。それ以外の刀剣はアンタの入学祝いって事にして本丸から全振り出させる。……彼等は未来ある刀剣男士。此処で朽ちていい命じゃないわ」


『っ、それなら！お母様もそうです。こんな所で、諦めないでください』


「私は良いのよ」


『良くないです』


「良いの。……もう、良いのよ」




何故そんな弱気になっているんだろう。
いつもの強気な母は何処へ行ってしまった？そもそも、自分は母の本当の性格を見たことがあったっけ？

ぐるりぐるりと幼いAの脳内を巡るのは、考えていてもしょうがない事ばかり。頭の中を整理したくて、やめよう、と思っていても次にくるのはこの本丸での思い出。


母から冷たくされた日、泣いた日、遊んだ日、皆で美味しいご飯を食べた日、痛かった日、楽しくて嬉しくて、一日として同じ時を刻まなかった毎日。

いつでも自分の事を想ってくれた父親と、母。




「アンタなんか生まれてこなきゃ良かったのよ」


『……』


「私の所じゃなくて、こんな戦とは関係の無い世界で産まれたらちゃんと幸せになれた。いつ死ぬか分からない審神者じゃなきゃ、私だって、アンタの事を娘として愛せた。
別れの為に離れるなんてせず、もっと、もっと愛せた

最期まで、大切にできた」




まるで独り言のような母親の言葉に娘はずっと黙ったまま、正座をした膝の上で震える自身の拳を見ている。


一時、自分は母から愛してもらったことなど無いと思っていた。話しても目を合わせてもくれない母が嫌だと思ってしまった時もあった。

けど、なんだ。
ちゃんと愛されてたじゃないか。

十分すぎるくらい、愛してもらえてたじゃあないか。




それなら、私も覚悟を決めよう。





＿＿＿さよならをしましょう、お父様。

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