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美しい。なんて美しいのか。
流石織田信長が所有した刀。
へし切長谷部様は無表情で私に刀を向けたが、少し、ほんの少しだけ苦しそうに目を細める。
私そんな彼に、自身を始末させてしまうことに大きな罪悪感を抱いたけれど、痛む体では動くことも出来ない。
でも、まぁ、
こんな綺麗な刀に殺されるなら、気分は悪くない。
あのまま牡丹様だけにボロボロにされて衰弱していくなら、何度斬りつけられても美しい刀に殺されたいと思う。
「長谷部」
急かすような牡丹様の声に、へし切長谷部様は刀を握り直した。
そしてそのまま振り下ろ__、
され、なかった。
「ッ、ギャ、ぁ!!!」
『……!!』
「___失礼」
____手が滑りました。
へし切長谷部様の美しい刀は身体のどこにも掠ることなく宙を斬った、と思えば、彼は刀の矛先を急に牡丹様に変えて綺麗な着物に赤い染みを作る。
痛い痛い痛い、と蹲る牡丹様。
私は呆然としてその様子を眺めていると、両脇から前田藤四郎様と平野藤四郎様がやって来て「大丈夫ですか、見習いさん」と笑顔を浮かべた。
何故、笑っていられるの。
「は、せべぇ!!な、に、をッ……うっ」
「手が滑りました、と言いましたが、聞こえませんでしたか?」
「……みな、らい!アンタの仕業、!?」
『わたし、なにも……』
「見習いさんのせいじゃないですよ、主」
鯰尾藤四郎様は私の背後から現れると、痛みで踞る牡丹様の前に膝を着いた。その顔は見えないけれど、声音がとても楽しそうで、嬉しそうで。
私は初めて刀剣男士様に恐怖を抱いた。
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美咲 - お話読みました!凄く面白かったです!もう更新されないのでしょうか?(泣) (2022年3月27日 10時) (レス) @page29 id: 7ef2d991dc (このIDを非表示/違反報告)
星華 - この夢小説はまだつづいていますか?もし続いていたら、小説更新等で教えて欲しいです。 (2020年9月20日 18時) (レス) id: a28065770e (このIDを非表示/違反報告)
akithin.(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (2020年6月21日 1時) (レス) id: e324714dd9 (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - 予想外の展開に驚いています。気に病む言い方かもしれませんが、更新楽しみに待ってます。 (2020年3月6日 2時) (レス) id: 67c87e380d (このIDを非表示/違反報告)
カルム(プロフ) - やばい。ここまでゾワッてなった小説は初めてです。 (2020年2月20日 17時) (レス) id: a52b3e9031 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:-naki- | 作成日時:2020年1月15日 21時