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朝餉時、刀剣男士様たちが広間で楽しげな会話をしているのを厨で一人聞きながら、目の前に置かれたおかずに箸を伸ばした。
牡丹様は朝餉を食べないということで、朝だけは顔を出さない事になっている。
食べなければ活力が湧かないと言うが、牡丹様は審神者としての仕事を何もこなしていないので活力を蓄えたところで無駄な事。
今日のように上手くできた卵焼きも、牡丹様の口に入ることはない。
もぐ、と白米を咀嚼していると、厨の入口から御手杵様が顔を出して「見習い」と私を呼んだ。
「あ、今飯食ってた?」
『もう少しで食べ終わりますので大丈夫ですよ。どうかされましたか?』
「間違えて獅子王の卵焼き食っちまったから、ひとつくらい余ってたらくれねぇかな」
『分かりました』
私は別の箸を用意して、自分のおかずとして皿に盛っていた卵焼き二切れを新しい皿に乗せ、どうぞ、御手杵様に渡す。
御手杵様は、え、と言う顔をし、「これ見習いのじゃねぇの?」と不思議そうな顔をしたので、構いませんよ、と言って押し付けるようにして彼に皿を渡した。
元々は刀剣男士様のために作った朝餉であって、私の為ではないし、卵焼きを抜いたところで生活に支障をきたす訳でもない。
彼等が稼いできた小判を使わせてもらっているのだから、尚更。
『獅子王様は本日出陣のご予定がございますし、朝はしっかりと食べて頂きたいのです』
「えぇ、でもなぁ……そうしたら見習いが……」
『腹が減っては戦ができぬ、と言いますよ』
「……まぁ、そうか」
悪いな、と御手杵様は軽く右手をあげる感じで謝ると、厨を出てすぐの廊下から獅子王様の名前を呼びながら広間に戻って行った。
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美咲 - お話読みました!凄く面白かったです!もう更新されないのでしょうか?(泣) (2022年3月27日 10時) (レス) @page29 id: 7ef2d991dc (このIDを非表示/違反報告)
星華 - この夢小説はまだつづいていますか?もし続いていたら、小説更新等で教えて欲しいです。 (2020年9月20日 18時) (レス) id: a28065770e (このIDを非表示/違反報告)
akithin.(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (2020年6月21日 1時) (レス) id: e324714dd9 (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - 予想外の展開に驚いています。気に病む言い方かもしれませんが、更新楽しみに待ってます。 (2020年3月6日 2時) (レス) id: 67c87e380d (このIDを非表示/違反報告)
カルム(プロフ) - やばい。ここまでゾワッてなった小説は初めてです。 (2020年2月20日 17時) (レス) id: a52b3e9031 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:-naki- | 作成日時:2020年1月15日 21時