見習い先は当たり前のようにブラック本丸でした。【刀剣乱舞】

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あれは、きっと嘘だ。



6時半、あと1時間ほどで起床してくる刀剣男士様の為に朝餉作りに励む私の脳内に残るのは、小烏丸様の優しげな表情と言葉。

私を気遣って言ってくださったであろうことなのに、私の胸にはちっとも響かない。


何故だろう。
どうして、嘘だと思うんだろう。

自分でも、自分が、分からなくなる。


ジャッ、と釜の中で濯いでいた米を握る潰すようにしてしまい、慌てて手を離す。
危ない。こんな事をしては美味しさが逃げてしまう所だった。


刀剣男士さまが口にする食べ物なのだから、私に出来る精一杯のことを発揮して、今日も明日も強く生きてもらわなくてはいけない。

彼等は、その為に生まれてきた。




「見習いちゃん、今日も早いね」


『ぉ、おはようございます、燭台切光忠様』


「手伝うよ」




内番姿で厨の扉を潜った燭台切光忠様は、私が見習として朝餉作りを始める前からこの本丸の炊事を担っているらしく、半年前からこうやって一緒に朝食を作ってくださっている。

昼餉や夕餉は牡丹様の目が光るので手伝えないけれど朝餉くらいなら、と申し訳なさそうに言った燭台切光忠様に、当初はめいいっぱい頭を下げてお礼を言った。




「今日の献立は？」


『朝畑で採れた大根を味噌汁に使おうと思っています。あとは、この前買ってきた卵とハムで目玉焼きを』


「了解。味噌汁は僕に任せてね」


『ありがとうございます、燭台切様』

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