第１６４話 つけられた、差 ページ19
疾風「A･･･なにも退院してすぐに特訓なんてしなくても･･･」
貴「今やらなきゃ、わざわざ兄さんのところに職場体験に来た意味なくなるでしょ」
兄さんの事務所に着くなり、私は部屋にこもってヒーロースーツに着替える。
兄さんは、そんな私にドア越しに話しかけてくる。
確かに私は退院したばかりだ。
傷も治りが早くてほとんどふさがってはいるけど、次に傷が開いたら完治するまで病院に拘束される。
でも、どうしても訓練したかった。
訓練せずには、居られなかった。
貴「･･････」
着替えを終え、扉から出る。
その最中も、考えてしまう。
緑谷達が、兄さん達を苦しめたヒーロー殺しを倒した。
私も、歯が立たなかった･･･あのヒーロー殺しを･･･。
同じ学校に通う、同い年のクラスメイトが──倒した。
実力差を叩きつけられた気分だ。
いてもたってもいられない。
少しでも、強くならなきゃ･･･。
疾風「･･･自分に倒せなかったヒーロー殺しを検挙した子達に、差をつけられたって焦る気持ちも分かるけど、ガムシャラに鍛錬すればいいってわけじゃないぞ」
貴「っ──･･･！？」
驚いた。
まさか的確に思っていることを突いて来るとは思わなかった。
疾風「休息が必要な時はちゃんと休む。鍛える時は鍛える。･･･行き過ぎた鍛錬は身を滅ぼすよ」
貴「･･････でも･･･」
でも、私は──･･･。
疾風「･･･気持ちは分かる。俺だって、そういう経験してきたし･･･。けどな、よく見ろよ」
そういって、兄さんは私の前に立った。
疾風「俺、今怪我人なんだって。少しは気遣って」
貴「あ──･･･」
そうだった･･･。
強くなりたい一心だったから兄さんの体のこと、頭から抜け落ちてた･･･。
貴「ごめん」
疾風「いいよ、それだけ真剣に強くなりたいって考えてたんだろ？」
そういうと、両手でグシャグシャと私の頭を撫で回す兄さん。
貴「ちょっ･･･！？」
疾風「明日から基礎トレとか実践的な戦術とか、ヒーローに必要なもん教えてやるから。今日は休め」
貴「･･･うん」
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青谷地 桜華(プロフ) - 心さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると嬉しいです･･･！不定期ではありますが更新頑張ります！(p`･ω･´q) (2020年1月27日 0時) (
レス) id: cdb735f519 (このIDを非表示/違反報告)
心(プロフ) - とっても面白いです！続き楽しみにしてます！ (2020年1月26日 15時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：青谷地 桜華 | 作成日時：2020年1月15日 21時
