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「…っ…む……あ…つ、む…」
「どないしたん…? 俺なら、ちゃんとここにおるで」
昼からの授業開始合図の鐘が鳴り響き、生徒達の賑やかな声が聞こえなくなったこの空間に、Aの小さな声が響き渡った。
ベッドの隣に座っている侑の手を、ぎゅうっと握る姿は、母がどこかに行くのを止める幼子の様だ。
「まだ……そばに、おって…」
侑の手を握るAの手は、少し震えていた。
こんな状態のAを放っておいて、授業に戻るなんてできるわけが無い。
いや、それは建前であって。
Aを ”独占したい” という侑の想いが、裏に隠れている。
「ちゃんと、そばにおるで。 やから、そない泣かんと……さらに目が腫れて、ブッサイクになるで?」
ぽろぽろと零れる涙を拭い、小さい体を抱きしめる。
少し遠慮がちだが、侑の背中に腕が回され胸に顔を埋める姿は、まるで小動物みたいで愛らしい。
「ありがとう、侑」
涙はすっかり止まり、ほのかに微笑みながら侑の目を見て言う。
その ”ありがとう” には、きっとあの男に自分の気持ちを伝える道を作ってくれた事の気持ちも入ってるのだろう。
「ええよ。 俺はな、Aのその笑った顔が好きやねん」
花が咲いたような笑顔。
心を包み込んでくれる、優しく温かい笑顔。
たまに、子どもっぽく無邪気な笑顔。
Aの、そんな笑顔が好き。
「A。俺な、お前が好きやねん」
驚いた表情を浮かべるAを見て、侑は目を細め口角を緩くあげた。
___ 誰にも渡さん。
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ソラ(プロフ) - ami☆さん» 読んでくれてありがとぉぉ!! サイレースとパキシルね!話の途中でぶち込むね!丹精込めて書いてきます!! (2020年3月31日 23時) (レス) id: 4de741d4e7 (このIDを非表示/違反報告)
ami☆(プロフ) - ソラさん» リクエストします! サイレースとパキシルをモチーフにしたお話を読みたいです…!(ざっくりしててごめんね) お願いします! (2020年3月31日 17時) (レス) id: 8fb5979ada (このIDを非表示/違反報告)
ami☆(プロフ) - ソラさん» 凄く面白かったぁ! 頑張ってね! (2020年3月31日 17時) (レス) id: 8fb5979ada (このIDを非表示/違反報告)
ソラ(プロフ) - ami☆さん» amiちゃん!呼んでくれてありがと!ひょっと、思いついてね!亀更新だけど、がんばります! (2020年3月30日 12時) (レス) id: ab9ea58111 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ(プロフ) - まーまーさん!読んでくださって、ありがとうございます!文字数を中々少なく出来なくて.......がんばって、少なくしてみます!アドバイス、ありがとうございます! (2020年3月30日 12時) (レス) id: ab9ea58111 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ソラ | 作者ホームページ:https://twitter.com/A5LKSPZiLYiWd6N?s=09
作成日時:2020年3月27日 18時