良縁があらんことを。笑えない ページ31
兄の言葉が素直に耳を通って心に響く。
私が何も言えずに黙り込むと、兄が動く気配がした。
「縁」
『……貴方からその名前を呼ばれるとはね』
「お前にこの本丸を託す」
真っ直ぐな黒曜石を埋め込んだ様な瞳は私を射抜く。あぁ、くそ。この人はどうやっても私よりも上で、兄で、家族なんだ。
視界が潤んで、兄が懐から取り出した紙もまともに見れない。
「“讓渡書”だ。俺の名前は書いてある。後はお前が名前を書いて印を押せばいい」
カサ、と紙が開かれると無駄に綺麗な文字が浮かんでいた。
私はそれを受け取って机と向き合い、ペンを取り出す。
＿＿＿これが、兄の審神者として最後の頼みならば、それを受け入れるのが次の審神者としての役目なんじゃないか。兄のしでかした事の責任を妹としてとるなら、これが、これこそが、一番最適なんじゃないか。
【受取人】の欄に、審神者名である縁を書く。
そこで初めて兄の審神者名が良だと知った。
朱肉に親指を押し付け、紙に印を押す。
『……書きました』
「あぁ。
これでこの本丸はお前のもんだ。」
そう言った兄を見ると、何年も見てなかった笑顔を浮かべ、私の頭に手を置いた。
ゆっくりと左右に動く手が、小学生の時に撫でられた感覚を思い出させるようで、潤んでいた瞳から、なにか溢れるのが分かる。
「……これから頼んだぞ、縁。」
＿お前に良縁があらんことを。
『………承りました、良さん』
＿貴方にも、良縁があらんことを。
溢れる雫を止める様に横から手ぬぐいを渡された。渡し主である山姥切さんを見ると、なんとも言えない表情で私を見つめている。
私が彼に笑いかけると、彼はぎこちなくではあるが少しだけ笑った。
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海翔 - 引き継ぎ手続き。笑えない。のところで後任が公認になってます (2019年5月9日 22時) (携帯から) (
レス) id: ef997e66b8 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 凄く良かった作品で続きが楽しみです！!今後他の作品を作る予定があったら刀剣乱舞の三日月か鶴丸か源氏兄弟のコラボかトリップか転生か成り代わりのリボーンかワンピースか銀魂かナルトの作品が読んで見たいです。説明が下手ならすみません。今後も応援します。 (2019年1月17日 6時) (レス) id: 5216ee3091 (このIDを非表示/違反報告)
篠屋裕季(プロフ) - わぁいクリーク〜ww (2019年1月14日 12時) (携帯から) (レス) id: f2dc7330c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：-naki-
| 作成日時：2017年12月30日 8時
