【d!】はじめまして、おやすみなさい。 (ページ20)

今日:6 hit、昨日:2 hit、合計:1,568 hit

はじめまして、おはようございます。ページ20

目が覚めると、私のまわりに多くの男性の方が見守ってくださりました。

心配そうに、見つめています。

『はじめまして、おはようございます。』

そう、声を出して。

彼らの声が上がる前にまた言いました。

『この世界では。』

『ちゃんと、輪廻転生、覚えてましたよ。』

『また、助けてくれました。』

『この世界でも一緒にいてくれますか。』

息をのんだ彼らは。

少し戸惑いながらも、

思い出したように私の顔を見て、

泣きそうになりながら、

口々に言いました。

"おかえりなさい。A。"

『､､､生きて生還しました。ただいま、皆。』

それから彼らは、この平和な世界で。

心ゆくまで暮らしたそうな。

それは、老いて朽ちるまで。

歴史の一部に消えていった。

ただ、一冊だけ彼らを記した本があるという。

それが、事実がどうかは分からない。

それでも、なお噂が続くのは。

人の心が、

想いが、

消えずに残るからであろう。

それもまた、人の長所であり、短所であろう。

いつか、果てるその日まで。