#05 ページ6
No side
「あっ…そうですか、よろしければじゃあ、今夜駅前の居酒屋で一杯…」
「なんと!!アダ…アダルト!!アダ…アダルトな気が…ニオイがします!!」
「今夜は予定がありまして」
「おう!!な〜るほど…な〜るほどザ…」
「あっ言わない?あそこまで言って」
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Aside
さっきから貴志は、机に凭れ掛かって顎を出し、本を読んでる伊藤さんを睨んでいる
私はその前の席に座って、ずっとお菓子を食べてる
そして、なにかソワソワしていた女の子は意を決したように貴志に話しかけた
「椋木先生!!その髪型凄く褒めてましたね!!」
「あっ、はは、ありがとう」
『顎出てるよ』
ありがとう、の時は普通の顔に戻ったのに、また顎を出して睨み始めた
その様子が見るに耐えなくて、私は耳打ちをした
『なに、今日からツッパリ始めたことをバラされて
前の学校で普通だったんだって言われるのが嫌で、心配が跡を絶たなくてその顔?』
「なっ、え、何でそのこと知ってんだ!!そんなんじゃねえ!!!!」
『図星じゃん』
「あの〜」
私がいちごオレをズコッと飲み干したと同時に、
ビーバーみたいな顔をしている貴志に言った
「はい?」
「席なんですけど…
前のほうが普通の生徒、後ろ2列がツッパリってことになってるんで、
後ろの方に行ってもらっていいですか…」
「えっどこでもいいの？」
「はい!!ツッパリは自由席なんです、大体遅刻か休みなので」
「あ、そう」
「はい…」
貴志がそう言って移動しようと席を立ってカバンを取った時、
別のツッパリ集団15人くらいの中の
リーダーみたいなリーゼントくんがドアに肩をぶつけて入ってきた
「痛ってぇな!マジでふざけんなよおら!!」
そう言って机を蹴り、適当な席に鞄を投げた
その行為に貴志は鞄を落として、鞄を投げられたお腹を抑える
痛いのが嫌いな貴志は間違いなく袋になりそうな状況である
で、挙句の果てには伊藤さんに頼ろうとしたのか席にいないことを見て
顎が外れそうなくらい口を開けていた
「いいからこっち来いやてめぇこら!!おい!!」
「あの、これって君の消しゴムじゃない?」
「あ、そうです、ありがとう」
『…あ、ごめん吉田さん、私も後で席移動しておくね!!教えてくれてありがと!!』
話してみたかった伊藤さんを見つけたけど、貴志のことが気になって
私は吉田さんに『じゃ！』と言って追いかけた
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作者名：冬眠。 | 作成日時：2023年2月9日 20時
