＃25 ページ26
Aside
「だっ！あっ！」
貴志が手に持つ金属バットで殴られ続けるボスっぽい男。
キィンっという金属音が響き渡る。
「うわっ！ ああ…あ〜…！」
男が呻きながら頭を抱えている姿に、
貴志は殴ることをやめた。
「お前やっぱり卑怯な。」
「だから言ってんだろ。
卑怯だろうがなんだろうが勝てばいいんだよ。
それが俺のやり方だ。」
振り返りながら伊藤くんと会話をする貴志に
次々と攻撃をしてくるチンピラたちだったが、
それらを軽々と避けて殴り返す貴志。
その後ろからもう1人のチンピラが
ナイフを持って刺そうとするも、
伊藤くんの手によって阻止される。
背中合わせになった伊藤くんと貴志は、
また起き上がったボスとチンピラ達を見た。
そしてまた、次々と倒していく。
「結局来んなら最初からこいや。」
「バカ者。
相棒がやられたところで突如現れて助ける。
それが！ヒーローの鉄則。
それが！カッコいい男。
そして！モテる。
いや！モテる。」
なぜかカッコつけて言う貴志に
感謝の気持ちが多少薄れた。
「やっぱお前サイテー。」
そう言っているうちに、ロッカーを開けに
明美ちゃんと京ちゃんが来てくれた。
「Aさん！大丈夫っすか？Aさん…！」
「A…！」
『あ、いや、大丈夫。
来てくれてありがとう、縄解いてもらえる？』
「はい…！」
ロッカーから出て見たのが京ちゃん達って、
なんて幸せ…！とか思っていると、
貴志が床に金属バットを捨てこちらを向いて言った。
「京子ちゃん、A、俺が助けました！」
「ありがとう、カッコよかった…！」
言い終わった後に貴志が手を広げると、
京ちゃんも手を広げていて。
…あれ、ハグしちゃう感じ？あれ？これ、ハグしちゃう？
なんて少し焦りながら見ていると、京ちゃんが走り出した。
…けど、焦る必要なんかなくて。
貴志も走り出してたけど脇を通り過ぎて
壁にもたれている伊藤くんにハグをした
「ああ！」
伊藤くんは
なんとも言えない幸せそうなアホっぽい顔をしていた
貴志は走って元々いた京ちゃんの場所、
つまり私と明美ちゃんの前に着くと、
悲しげな顔をしながら私たちを見た
「ご愁傷様です」
「……うわぁ〜ん！」
『うわ…よしよし、』
泣き叫びながら私抱きついてきたのに
若干気持ち悪さを感じながら頭を撫で仕方なくハグをした
すると、貴志の悲しみは怒りに変わったようで。
私から離れて言い出した。
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作者名：冬眠。 | 作成日時：2023年2月9日 20時
