最強コンビ、ここにあり (ページ23)

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No side

その伊藤を、工場跡の壁の穴から見る成蘭女子の生徒と明美

「三橋さん…三橋さん助けて！」

明美は、三橋に助けを求めに走っていった

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三橋side

「よし…来い！」

そして俺が用意しておいた“コレ”に引っかかるのだ!!

「お〜ら〜〜〜!!!!」

そういってめちゃくちゃに走ってきた今井は

俺の目の前で地面の中へ沈んだ

「今井さ〜〜〜ん‼‼」

「フフフ…君が紅高に行ってる間に掘らせて頂いたよ」

「てめえ！卑怯だぞ！」

そう穴の中から叫ぶ今井に、俺は微塵も思っていないことを口に出す

「すまん、あんた強えから

これくらいのハンディは必要だろ、あんたと喧嘩する気持ちを整えるのに

あと一時間は必要だ…必ず戻ってくるから、ここで待っててくれませんか？」

「フフフ…俺をこんな目に合わせるほどビビってたのか」

めんどくせえな、急いでるしそろそろ行きてえんだよ俺は

「はい、すいません、じゃ後ほど！」

そう言って敬礼をして、俺は小走りで荷車を回収した

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Aside

「うう…」

聞こえてくる衣擦れの音、殴られ蹴られる音、伊藤のうめき声

ケンカにはもう慣れたしそれは怖くないのだが、伊藤のうめき声が聞こえるたび

身体や顔の怪我を想像してしまってはゾッとする

「ガキが、いい加減にしろコラ」

貴志を思い出している自分にも、殴ってやりたくなる

＿とある夏の日

小学生の頃、いじめられていた私は当時気が弱くてハッキリとしない性格だった

毎日のように規則正しく学校に行って、毎日のように放課後いじめられる

それを助けてくれていたのは、いつも貴志だった

「…おい、顔上げろよ」

『…え』

教室で一人、びしょ濡れの私はうずくまって泣いていた

まだ黒髪の男の子だった貴志に声を掛けられて、ハッと顔を上げる

「…Aお前、毎日こんな事されてたのか」

『いや、あの違くて、水撒きのホースを踏んじゃったの、自分で』

「………お前、何で言わねえんだよ」

『…貴志、本当のことだから気にしないで？ほら、帰ろ！』

私がはにかんで言うと

貴志は「そーかよ」とぶっきらぼうに返して先に行ってしまった

それからというもの、虐めが終わって貴志が来ては嘘を繰り返して…の繰り返しだった

ある日とうとう、私達に限界が訪れた