#05 海賊 ページ6
Aside
「船長！海賊です！」
「なに！？」
ドアをバンッと開けて大きな声で報告したのは水夫の二人だった。
船長は想定外の出来事に驚きながら、
揺れる船内でバランスを崩さないように体制を保っていた。
「「キャアー‼‼」」
またもや揺れる船内に、確実に乗客の不安が高まる。
「皆さん落ち着いてください！落ち着いてください！」
ナミを誘った男は尻餅をつく。
そんな男を横目に、私は女性のことを考えた。
女性がこんなに怖い思いをしたら、海の上はトラウマになってしまうのだろう。
それを私は心から悔やんだが、ナミの安全を確保するため何も行動を起こさなかった。
「冷静に指示に従ってください！」
船長が指示しても、乗船客はパニック状態で聞こえず、我先にとドアへ走った。
「…」
『ナミ、大丈夫？踏まれてない？』
「ええ、大丈夫」
そんな中、私達は壁側に向かって寄りかかっていた。
ちなみに、ナミは私に寄りかかっている。かわいい。
そして、私達は顔を合わせてにやりと笑った。
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No side
「撃て〜‼」
一人の女性の掛け声とほぼ同時に海上へ放たれた砲弾。
何発もの砲撃が船を襲うのを、海賊船から佇んで見る掛け声をかけた癖毛の女性。
「コビー！」
その女性はピンク頭の少年・“コビー”を呼んだ。
「は…はい！」
「この海で一番美しい者は誰だい？」
「そ…それはもちろん、この船の船長、アルビダ様です」
コビーは怯えたように震えた声で、海賊船の船長・“アルビダ”だと答えた。
「フフフ…ハハハハハ！」
アルビダは豪快な笑い声を上げた後、金棒を船についた。
「よく出来た」
「ありがとうございます!」
「アルビダ様、久方ぶりの獲物ですね。」
「おうさ！さあ、とっとと船を着けな！」
「「オオーッ‼‼」」
先程まで穏やかだった海上には、
一つの海賊団の一致団結した声と襲われた乗客船からの悲鳴がなっていた。
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No side
乗客船の中に、ゴロゴロと転がりまわる樽があった。
水夫達が釣り上げた樽である。
樽は船の下へ下へと入ってゆく。
そして、同じ船内を駆け回る二人の少女、ナミとA。
下へ向かった樽は調理場へと転がっていった。
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作者名：冬眠。 | 作成日時：2022年12月15日 15時
