#03 夢 ページ4
Aside
「……空島には行ってみたくても…俺奇病持ちだし、寿命も残り少ないんだ。」
「まぁ、本当にあるかどうかもわかんねェけどな‼‼」そう言って彼は悲しそうに笑う。
そんな彼を放っておけなくて、思わず声を掛けた。
『……………ょ…』
「?」
『きっとあるよ…。空島。』
「‼‼‼………ハハッ…だよね‼」ﾆｯ
『うん…。』ﾆｺｯ
にっこりと笑う彼は、心の底からきちんと笑っていた。
そして私はそれに同調した。
彼の夢が、叶うことを願って。
「………でもね、俺あったとしても行けないんだよ…A。」
『……どういうこと…??寿命?!寿命が足りないの…⁉⁉』
そう問い詰めると、下を向いて悲しそうに口角を上げる彼。
本当に、そうだったんだ。
『……ぁ……ごめん…。』
「…ううん、俺、夢の話したらさ、いつも笑われてたから。ここまで聞いてくれたのはAが初めてだし、もちろん応援してくれたのも初めてだよ。」
本当に嬉しそうに笑うから、照れくさくなる。
初めてナミ以外にこんなに一緒にいたかもしれない。
「…………これから俺が言うことも、誰にも言わないで、秘密にしててくれる…?」
『……仲間にも?』
「Aが信じた仲間にならいいよ、」ﾌｯ
彼はふっと笑いながら言った。
『………どうしたの』
「…俺、これでも国王なんだ。」
『………………………………は????』
国王…国王⁉⁉情報量が多すぎる。
『…え、それって…今貴方の国は…シオンの国はどうなってるの…⁉⁉』
「……はは、疲れちゃったんだよ…。両親が3歳の頃から居なくて。お前はこれから国を治めるって言われてもな…。寿命もあるし、伸々生きたいんだよ…俺。」
『…………貴方が前を向かなくて…国を治める貴方が逃げ出してどうするの…‼‼』
「……そう。逃げたんだよ…。逃げてここに来たんだ。」
自分とは違う奇病持ちで寿命がある彼に、私の考えを一方的にぶつけてしまった。
『……ごめん、辛さも私にはわからない。でも、それが貴方の出した答えであって、国が滅びようとも後悔をしないのならそれでいい。』
「…‼‼」
『…寿命は、残り何年なの?』
「…もう、終わるんだ。残り10分間。」
『10…⁉⁉⁉⁉ほんとに少しじゃない…‼なんで早く言ってくれなかったの…‼‼』
「でももういいんだ。最後に君に、Aに出会えて良かったよ。君みたいな人が、僕の夢を叶えてくれると嬉しいけど…?」ﾆﾔｯ
『…必ず!』ﾄﾞﾝｯ
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作者名：冬眠。 | 作成日時：2022年12月15日 15時
