麦わらの一味に溺愛されるなんて聞いてない…‼【Ⅰ】 (ページ24)

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#23　泥の塊ページ24

Aside

流石に、踏まれて形の崩れたまま食べさせるのも気が引けて

私はアルコールのウエットティッシュで手を拭いてから

おにぎりの形を作ってぞろの口元へと運んだ

「…あー、ｹﾞﾎｯｴﾎｯｹﾞﾎｯ…」

そのままバリバリと音が聞こえるおにぎりを全て平らげてしまった

「だから言ったろ?」

きっと、ルフィは「泥の塊」と言ったことを指しているのだろう

でも、ぞろは優しかった

私の想像より、遥かに、優しかった

「うまかった、ごちそうさま」

ルフィは一瞬驚いたような顔をしたが、フンと笑った

ルフィにも、優しさが伝わったのだろう

それから私達は、街の方へと一度移動をした

「ほんと⁉」

「ああ、一つ残らず食っちまったよ、あいつ」

「うわ〜、うれしい〜‼」

リカちゃんは本当に嬉しそうに目を輝かせていた

あまり感情がない私でも、言ってしまった

『私もリカちゃんのおにぎり食べたかったのに、』

「…‼‼Aお姉ちゃんにも、今度は作ってあげるね‼」

『…‼ありがとう、嬉しい』

真顔だったかな、と思ったがリカちゃんはまた嬉しそうに笑ったので

どうでもよくなってしまった

「ゾロってホントに噂通りの悪人なんでしょうか?」

「違うよ‼」

コビーがそういった瞬間、リカちゃんはすぐに否定した

「だってお兄ちゃん、あたしたちの代わりに磔に…」

「ああん？どういうことだ？」

「皆あのヘルメッポのせいなの…モーガン大佐の、息子の」

それからリカちゃんは、色々なことを教えてくれた

ペットと言って狼を連れてきて、邪魔をしたら死刑と言われた事

それを知らずに、家のお店に入ってきた狼を箒で追い払おうとしてしまった事

変な頭がそれを見て文句を言ってきた事

食べられそうになったリカちゃんを、ぞろが助けた事

そのままモーガン大佐を殴って刀を突き立て、文句を言った事

リカちゃん達、親子の代わりに磔にされている事

一ヶ月の期間で、今は三週間が経った事

「ヘルメッポのやつ、磔にしたお兄ちゃんを殴ったり蹴ったり…

あたし…あたし…」

泣き出してしまうリカちゃんに、私はそっと頭を撫でる

「そうだったんですか」

コビーが言った途端、ガラスの割れる音がした

「ああ！腹減った、俺たち全員にタダで食わせろ‼」

ああ、この横暴な声…

店内に入ると、やっぱりアイツだった

「モタモタしてんじゃねえぞおら！早くしろ！へへへへ…」

でも、私は

違う理由で驚いて

目を疑った。