無色透明な心にさよなら【名前変換オリジナル】

ep.31 ページ31

海斗「先輩、何かありましたよね」




えっ…






海斗「最近、無理に笑ってる数が増えた」


「…っ！」






海斗くんはなんでいつもわかるの…？
察しがいいのは兄弟そっくりだ。






海斗「もしかして、兄さんと……」

「海斗くんは、知ってた？」





海斗「何を…？」









「翔也さんに彼女がいること」








海斗くんは珍しく目を見開き驚いた顔をした。





海斗「そんな事…兄さん1度も…」


「だよね、私も知らなかったや」







いいんだよ。こんなのはただスタートラインにも立てなかった私のちょっとだけの恋愛ごっこなんだから





海斗「だから無理に笑ってたんですか？」


「笑顔でいなきゃ、やってらんないから」




海斗「でも…だからって苦しいんだろ！？」





苦しい…？







「あはは…わかんないや」





私、感情ないから。









海斗「無理して笑ってるあんたを見るとイライラする！！兄さんじゃなくたって他にも…」


「無理だよ」







海斗「また無理して笑うなよ！だいたい兄さんのどこがそんなにいいんだよ？」









分かんないよ。わかんなかったの、恋するまで









私が…どんなに嬉しかったか



素直にドキドキできたことがどんなに嬉しかったか





彼女がいるって知って…どんなに嫌だったか！！









「本気で誰かを好きになったことも無い海斗くんには分かんないよ…！！！！！」









海斗「…っ！！」









それだけ残して私は走り去った。





いくら失恋したって…1度塗られたキャンパスは
もう取り消すことなんてできないんだから。

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