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「二ヶ月」
「二十」
「馬鹿! 無理に決まってるでしょそんなの!」
「それまでに終わらせてもらわないとこちらも困る」
「だったら最初っからこんなボロボロにしないで丁寧に扱いなさいって話よ!」
「次から気をつける」
「何回目よそれ」
「頼む、お願いだ」
「嫌!絶対いや! それに最低限海外から部品を輸入するには最長1ヶ月かかる。」
「じゃあ一ヶ月だ」


話にならなすぎて私は顔を引きつらせた。壊しておいてなんだその態度、それが人にお願いする態度か?


降谷くんに白い目を向けたまま腕を組んで黙り込んでいると勝典さんが後ろから「あの、」と、言いながら私の顔を覗き込んだ。


「そろそろお時間なので行きますね。お食事の件、急ぎではないので考えといてください」
「無理ですよ」


その勝典さんの頼み事に先に答えを出したのは私ではなく降谷くんだった。


「彼女、警察官に戻るので」
「け、警察…?」
「ちょっと!」
「ええ、彼女は元警察官なんです。僕は警察学校の時の同期でして」


一体降谷くんは何を言う。
警察官に戻る予定はないし、さらっと元警察官であることもバラされた。


「次! 次メンテナンスの時お返事しますので! ほら、執事さん待たれてますし、ここからだともう出ないと! パーティー楽しんできてください。おみあげ話待ってますので!マフラーも大切にしますので!」


慌てて私は勝典さんの背中を控えめに押しながらリムジンへと誘導する。ここに降谷くんと大切なお客様を同じ空間に置いてしまうのは危険だと私は認識した。


「それは良かった。今度は是非宮下さんの話も聞かせてください」
「もちろんです、こちらこそお待たせしてしまってすみません」
「いいえ、ではまた来年お伺いしますね」


その言葉に私はえっ?と拍子抜ける。


「あれ、うちの執事から聞いていないんですか? 実は私、来月から仕事でパリへ出張するんです。寂しいですが貴方に会えるのはまた来年です」


それを聞いて私は『なるほど』と納得する。だから今月はこんなに豪華なお土産ばかりなんだと。


「そうだったんですね、くれぐれも体にはお気をつけてください」
「ありがとう。ではまた」


そう言って勝典さんは車へと乗り込んだ。遠退いていく黒のリムジンに私は見えなくなるまで手を振り続けるとほっと肩を撫でおろした。



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ネイジェ - すごい、言葉に表せないくらい面白い!!更新頑張ってください! (2022年6月15日 19時) (レス) @page29 id: 17a7d13276 (このIDを非表示/違反報告)
ひゆめ(プロフ) - 凄く面白いです!!更新頑張ってください。 (2022年6月15日 12時) (レス) id: 141a54d8d9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:冬 磨 | 作成日時:2022年6月14日 23時

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