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「まあまあだな」
「まあまあって…なにがまあまあなんですか…」
「宮下が二十日間で修理を終わらせてくれたおかげで時効間際の犯人を逮捕できた」
「私は車を治しただけ」
「ありがとう、助かった」
「………いや、降谷くんの運が良かったんだよ。新しく交換しなきゃいけない部品があったけど、製造元がもう生産を終了してるって言われて、だから私は元あったパーツを組み合わせて、見本と比べながらない部品は一から作った。……もしあったら、私は降谷くんの約束のを放り出してでも届くまで一ヶ月待つ方を選んでた。そう簡単に壊れることはないけどあくまで今の部品は一時的なものだから、多分ぶつかっただけで粉々になるよ」
「…気をつけるよ」


それ以外、移動中に会話という会話はない。しいて言うのであれば『何か飲み物でも買うか』と聞くと首を横に振っただけ。俺は車を運転し彼女はただ窓の外から見えるの夜景をじっと見つめていた。

ただ、その夜景を映す瞳が、どこかあの時と同じ、虚ろに浸っている。そんな気がした。


「適当に、回るか? 景色のいい所………首都高とか」


先ほどと同じように横目で視線を送ると窓の外を見つめながら宮下は小さく頷いた。ルートを変更しまた逆方向へと車を走らせる。見慣れた東都タワーにベルツリー、高層ビルに観覧車。今、この夜景が彼女に何を思わせているのか。すると首都高速を二周した頃、宮下が口を開いた。


「この後、時間ある?」


それに俺は短く返事をする。


「これ、洗えるやつだよね。洗って返すから。またいつ戻ってくるかも分からないし、というか来て欲しくはないけど」
「分かった、外で待つよ」


そう言って近くのICインターチェンジから降り、再び西多摩市方面へアクセルを踏んだ。


四十分後、宮下の自宅の敷地に着くと一目散に家の中へと駆けこんで行った。それから庭に車を止め車内時間を潰してから約五十分、二階中央の部屋の明かりがパッとつく。アールヌーボー様式を意識させるような装飾が施された半サークル状のベランダのフェンスが部屋からの逆光でより一層独特なシルエットを映し出していた。



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ネイジェ - すごい、言葉に表せないくらい面白い!!更新頑張ってください! (2022年6月15日 19時) (レス) @page29 id: 17a7d13276 (このIDを非表示/違反報告)
ひゆめ(プロフ) - 凄く面白いです!!更新頑張ってください。 (2022年6月15日 12時) (レス) id: 141a54d8d9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:冬 磨 | 作成日時:2022年6月14日 23時

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