うちのマンネは天真爛漫3 (ページ7)

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Aはリボンを使って演技をする。
時間は1分30秒で、アユクデでは細かいルールは問われないもののAの演技は国内大会でも参加できるようなハイレベルな演技構成になっていた。
それを踊りこなせるのがAだ。

レベルが桁違いだと、一目見ればすぐに分かる。
本物がやってきた、と会場で連呼されていた。

テーマは白鳥の湖で、オデットとオディールを表現する。
リボンも白と黒のグラデーションに染められ、
レオタードも白鳥の羽をイメージした装飾。
スパンコールが散りばめられてキラキラと輝いている。

今日はラフな練習着だが、一度試着した時はAは大喜びだった。

曲をかけての通し練習が始まる。

体の動きや柔軟性は問題なく、あえていうならば手具操作が苦手なところが問題だった。

ラストは高くリボンを投げ上げ、2回前転し3回目の前転しながらキャッチをするかなりハイレベルなもの。正直、アユクデで披露するような技ではないのだが、次々と技をこなしていくAにコーチが提案した大技だった。
壮大な曲のラストにとてもマッチしている。

この日も投げが不安定で上手くキャッチできず、そこを繰り返し練習していた。

１つ乱れると他の技も乱れてくるもので、
演技冒頭の小さなエシャッペも取りこぼしが続く。

見かねたコーチが声を荒げる場面も。

後ろ足のバランスからのスタート。
それも足を肩にかけて、まるで軟体生物のよう。

その後のフェッテピボットでリボンが飛んでしまい、曲も止まる。

思わず座り込み、いらだった様子のA。

そんなAの様子を見守る影が13人分あった。

コーチからの指示に頷いて、立ち上がるA。

乱れた前髪をかきあげて、またポジションにつく。

"そんな顔をしてお客様に演技を見せるの？何を見せたいのかよく考えて"

と、体育館の隅を指さす。