136. ページ36
『私にとってオッパは太陽だよ』
空がこんなに澄み渡っているのをみたのはいつぶりだろう。
青い空に少しの白い雲。
吹き抜ける風が心地よかった。
胸につかえていた重たいものが、とても軽く思えた。
悩んでいた事や思い詰めていた事が、なんだったのかと一瞬忘れてしまうほど爽やかだった。
僕を太陽のようだと言ってくれるA。
沢山の事を温かく見守れているのだろうか。
僕は沢山のものを照らす自信はないし、僕はそんな太陽のような。
とても立派な存在ではないと思う。
だけど。
Aがそう言って笑っているから、
なんだか本当にそうなんじゃないかって
少しだけ思った。
周りの言葉も、カラット達の言葉も、自分の言葉も。
もっと信じていかなくちゃいけない。
僕は信じていたかったんだ。
声を出そうとしたら、なぜか熱いものが込み上げてきて
思わずまた空を見上げた。
隣にはAが居て、微笑みながらぎゅっと抱きしめてくれた。
「…ありがと」
顔なんか見れなくて、声だって震えてて、思わず鼻水を啜ってしまうダサい僕だけど。
『オッパは私が照らすから、いっぱい泣いたっていいんだよ』
そんな風に言われたら、涙が止まらなかった。
口を覆って顔を隠すと、優しく頭を撫でられた。
「…うわ…チンチャ…ごめ」
『なんでオッパが謝るの?いつも私だって、メンバー達だってオッパにどれだけ助けられてるか知らない?』
『あはー!もうオッパ、愛してるよ』
僕より随分背の低いAが正面から僕を抱きしめてくれた。
腰を少しかがめて、優しく抱きしめられながら涙を止めるのに必死だった。
『ねぇ、ソクミニオッパ』
「…ん?ごめんな」
『ううん、違うの(笑)』
「どうした?」
『オッパ達がトイレ覗きにきたよ(笑)』
「うぇ、うぇ、うぇ?」
涙を拭いながら振り返えると、窓にべったり張り付いてこっちを見つめる12人のシルエットが見えた。
612人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SEVENTEEN」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:蘭 | 作成日時:2021年12月5日 17時