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134. ページ34

『オッパー!休憩?トイレ行ってきてもいいー?』


顔に被せられたのがAのタオルなのだと気づいた。

反対の手で顔から取ると、目の前でにこにこ笑ってスニョンイヒョンに声をかけている。



「えーいホシヤ、あいつのトイレは嘘だよ」


ジョンハニヒョンが、ホシヒョンの肩に手を置いて言う。



「15分だけなー」


チラッとAの顔をみて、笑ったホシヒョンの笑顔は優しかった。

握られたままの手をじっと見つめていると、



「15分!?長すぎ」


『やったー!オッパ愛してる』



ジョンハニヒョンが不満そうな顔をしてる。

Aは嬉しそうに笑いながらも愛してる、を早口で言いもう背を向けてるからヒョンがその言い方なんだよ!と嘆いてた。
隣でディノが可笑しそうに笑った。



繋がれた手が温かい。

その瞬間にハッとして、ようやく息が吸えた気がした。

隣にいるAを見ていると唇をぎゅっと噛み締めてしまった。
なぜだか涙が出そうになったから。


なんでAが笑うだけで、話すだけで。
そこに居るだけで、こんなに優しい気持ちになるんだろう。


どうして。

みんなが笑顔になれるんだろう。



『さ、オッパ行こう』



ニコニコ笑って僕の背中を押すように歩き出すA。


「え?俺?」


『うん!一緒にー!』



チラッと後ろを振り返ると、床に座っていたウジヒョンと目があった。
ヒョンは小さく頷きながら手をあげた。
ウジヒョンの前にしゃがんでいたジスヒョンも僕を見て、小さく笑った。


ジスヒョンはなんであんなにかっこいいんだ。



ずっしりと重たかった心の中は、なぜか少し風が吹いて隙間ができたようだった。


ふいにヒョンの事を考えてしまったなんて、少し面白くて笑いそうになった。


そんな僕を隣で歩きながらじっと見ていたAは、嬉しそうだ。



『オッパ何笑ってるの?』


「俺笑ってる?」


『笑ってるよぉ。大丈夫』



Aは花のように笑うって、誰かが言ってた。
本当にそうだ。




Aの足はトイレには向いてない。


『あのね、ちょっと風に当たりたい』



エレベーターに俺を押し込んで、Aが押したボタンは最上階。



「トイレは?」


『あんなの嘘だよー』
『ハニオッパにはバレてたかなぁ』


そう言ってケラケラ笑ってる。

さっきまで鋭い目つきをして踊ってたAとは別人のようだ。

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作者名: | 作成日時:2021年12月5日 17時

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