133.ドギョム ページ33
「ドギョマ大丈夫か?」
肩にポンと置かれたその手に、ビクッと体が震えてしまった。
自分でも驚いたが、僕に声をかけてくれたスニョンイヒョンも目を見開いて驚いた顔をしている。
「え。うん。もちろん。大丈夫」
苦しい。
息苦しい。
心臓がやたらとうるさく鳴っている。
体も重く、上手く笑えない。
浅く息を吸い込んで吐き出して。
そのまま嫌な気持ちも吐き出せたらいいのにと、
ぐっと手のひらを握る。
嫌な感覚だ。
じとっとした重い気持ちが胸を潰してくる。
「何が」あった訳でもない。
ただ、ふとした時にやってくる焦燥感。
自分だけなのだと思う孤独感や虚無感。
普段なら笑い飛ばせるのに、こういう時は何もかもが重くのしかかって払拭できない。
だめだ。
鏡からこっちを見返す僕が、ひどく冷たい。
声も続かない。
高音が出なくて、顔を顰めてしまう。
額から流れる汗を拭くために腕を伸ばしたら、
その手が震えている事に気がついた。
情けなくて笑える。
自分の笑い声がどこか遠いところから聞こえているような気がする。
ミョンホと話すミンギュと目があった。
2人の顔が見てられなくてすぐに目を背ける。
また顔を上げると、こっちに向かって一歩進んでくる。
俯いてしまって、後ろを向いて息を吸い込む。
笑えるように。いつものように。
口に、目に、笑いを張り付けて振り返ると。
目の前が暗くなった。
ふわっと広がる花のような香りに、手を優しく握られたのがわかった。
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作者名:蘭 | 作成日時:2021年12月5日 17時