うちのマンネは天真爛漫10

469.ウォヌ ページ19

その日はすっかりと冬らしく。
冷たい風が吹き、どんよりとした空。
誰もが足早に街を歩き、下を向いて。
視線が交わることの無い、なんだか少し寂しい日。


Aは事務所でその日最後のスケジュールを終えた後、
スングァンとバーノン、ディノと送迎車に乗りこみ、
宿舎へと向かっていた。
辺りはすでに薄暗い。
太陽が夜にのみこまれ始めていた。



後部座席にバーノンとA。
その前にスングァンとディノが座り、
バーノンはヘッドフォンで音楽を聞きながらスマホをいじり、
スングァンとディノはいつもよりは穏やかに2人でケラケラと笑っている。

Aはそんな2人を見ているのが面白くて、
後ろから2人のセルカを撮った。


「あっ、今写真撮ったでしょ」

「やっぱり僕の方がイケメンだよね」

「ほんっと、やだ。ディノみたいな奴」


何でだよー！と笑うディノに、スングァンが言う。


「ほら、4人で撮ろう！ボノナ！」

ん？ときょとんとしてヘッドフォンを外したバーノンと顔を寄せるA。


『4人で撮るって』

「あーOK」

「2人の顔が近い！」

「うるさいなスングァニヒョンは」


移動中もたわいもないお喋りが面白くて、
その写真に映る笑顔は4人共がキラキラとしていた。


助手席に座るマネージャーが顔を顰めて、電話をしている事など気づく事なく。

他の車で同じく宿舎へ向かうメンバー達の表情が暗くなっていることも、もちろん知らなかった。

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