443.ウォヌ ページ43
肌寒くなってきた韓国の朝。
マネヒョンの迎えで事務所に向かい、車から降りた。
足早に事務所に駆け込み、ロックを解除してエレベーターへ向かう。
羽織った上着を整えて、顔を隠すようにマスクを少し上へ押し上げた。
エレベーターを降りると、練習室まではすぐだ。
練習室はすべて電気がついている。
手前の練習室を通り過ぎようとしたタイミングで外側のドアが開き、誰かが出てきた。
すると声が聞こえた。
「ヌナ！ありがとうございました！」
「Aヌナお疲れ様ですっ」
『こちらこそありがとう！お疲れ様！練習がんばってねぇ！』
ニコニコと手を振りながら出てきたのはAだった。
髪をポニーテールにして、
ショート丈のTシャツにジャージのズボン。
いつものダンスレッスンを受けるときの出立ち。
…なぜ？
『お。ウォヌオッパ』
思わずそこで足を止めてしまっていたらしい。
きょとんとした顔でウォヌを見上げるAは、
メイクもしていないすっぴんなのに、可愛い。
一体何年一緒に過ごしてきているのか。
それなのに未だにAは可愛いし、愛らしい。
ドキッと高鳴る鼓動には知らんふりをする。
顔の表情筋を総動員して、素知らぬ顔を装うのだ。
Aに触れていた夜を思い出せば…
また顔が緩みそうになる自分に嫌になった。
ウォヌはメガネをくいっと押し上げて、手に持ったリュックを肩にかけなおした。
…平常心。平常心。
ダンス練習に余念が無い後輩たちはカムバ前だと聞いた。
メンバー達はみんなかっこよくて、可愛い。
だけど、Aが絡んでくるとなると話が別。
ヌナ？
そう呼んでいなかったか？
それに、そんな腹が見えてるTシャツで？
一緒に練習してたのか？
俺達がいないのに。
「…ヌナ？」
何も言わない俺を見つめていたが、
無視することを決めたらしいマンネの細い腕を掴んだ。
「お前いつからヌナだなんて呼ばれるようになったの？」
知らない。
俺が知る範囲ではそんな風に親しくなってたのなんて知らない。
ジュニでさえ、この間ヒョンと呼んでいいかと聞かれたんだと、照れくさそうに話をしていたのに。
いつの間に？
茶化したように言うつもりだったのに、
声になったのはいつもよりも低い声で。
あ。やべ。
Aが俺の顔を見て眉を顰めたのがわかった。
『……』
何も言わずに、唇を尖らせて黙るA。
練習前にやらかしたかもしれない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1134人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SEVENTEEN」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
み(プロフ) - らんさん» ありがとうございます！早速読ませていただきました♡最高です（ ; ; ）これからも楽しみにしてます！応援しています！ (2022年12月11日 23時) (
レス) id: d1a386c9a7 (このIDを非表示/違反報告)
らん(プロフ) - みさん» 大変お待たせしました！スンチョルとのお風呂シーンがあるお話！を更新出来ましたのでよろしければ読んで見てください。途中からドキドキしてしまって、慌ただしいお話になってしまったかもしれませんが…リクエストありがとうございました！ (2022年12月11日 0時) (レス) id: 7b16d9cf4f (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - ありがとうございます！楽しみにしています♡これからもがんばってください！ (2022年11月5日 15時) (レス) id: 33ce41f4a2 (このIDを非表示/違反報告)
らん(プロフ) - みさん» おはようございます！返信遅くなり申し訳ありません！リクエストありがとうございます♡お時間かかりますがお話更新していきます！また楽しんで頂けたら嬉しいです。 (2022年11月5日 6時) (レス) id: 7b16d9cf4f (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - はじめまして！トキメキながら読んでます！リクエストなんですけど、シーズン4でのスングァンとのお風呂のシーンでスンチョルとお風呂に入った事があるって書いてたんですけどその時のお話を良かったら書いて欲しいです(>人<;)これからも頑張ってください！ (2022年10月26日 20時) (レス) id: 33ce41f4a2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蘭 | 作成日時：2022年8月14日 0時
