うちのマンネは天真爛漫9

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「お前が離れろって言ったって…離れてやらねぇ」


「Aは俺の……大切な………妹だ」



なぜか涙が溢れて、今にも溢れてしまいそう。

キュッと胸が苦しくなって、オッパの声も震えていて。

強く強く抱きしめられて苦しいのに。


オッパの吐き出す吐息が熱いのに、なぜか悲しい。


「何、泣いてんだよ…」


離れたオッパがAの顔を覗き込んで笑っている。


『オッパだって…』

「泣いてない」



髪を撫でてくれる手が優しい。





「…ずっと一緒にいるからな」


『絶対だよ』


「俺達は…絶対だ」


どの位の時間が経ったのか分からないけど、

車通りの無かった道を車が通り過ぎて行く。

ヘッドライトが一瞬オッパを照らした。


『オッパ…』

「ん？そろそろ…帰るか。あいつら待ちくたびれてるだろうから」


寝てるか、って笑うオッパの笑顔は少し悲しそうだったけど
大好きな笑顔だった。


『ありがとう…迎えに来てくれて』

「…遅くなったけど」


瞼の下を優しくなぞり、笑うオッパ。

首を振ると笑って前を向いたオッパは、すっかり冷たくなってるであろうコーヒーを飲んだ。


「行くか」


シートベルトをまた付けて、ハンドルに手を置いて。
こっちを向いたオッパの頬に手を伸ばした。

オッパが目を丸くする間もなく、

オッパの唇にチュッと触れるだけのキスをして。



『愛してる』


目を見てそう言った。


言いたくて仕方なかったから。

言えるなら今しかないのかなって。


オッパは顔を顰めて、前髪をかき上げた。



「……なぁ、お前俺をどうしたいの？」



ふふっと笑うと、オッパがまた覆いかぶさって。


優しい雨のように降り注ぐキスに、

またしばらく夢中になった。

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