I love you 32 ページ7
私は布団から上半身だけを起こした。
一方的に、次々と送られてくるメール。
そして、
「…っや」
思わず耳を塞いでしまう。
止まらない着信音。メールだけではない。通話も着信している。
もう電源を切ろうとディスプレイに手を伸ばすが、震えた指では正確に押すことができるわけもなく、“通話”のボタンを押してしまった――。
声をだしちゃいけないと、直感が告げて、近くにあった枕をひっつかんで口許にあてる。
通話口の向こうから聞こえた声。
それは昌太の周りを明るくするものでも、私を落ち着かせてくれる陵雅のものでもない。
狂気に満ちた、甘ったるい声。
未だ少年の面影の残る少し高めのそれは、低いそれよりも甘さや高ぶり、そして狂気を引き立て、恐怖はより際立つ。
「もしもし」
「もしもし」
「いないの?」
「いるよね」
「ねぇ、でてよ」
「Aのきれいな声、聞きたいなぁ」
少し途切れながらも絶えず鳴り続ける声。
「ねぇ、声を聞かせてよ」
「今ね、家の前にいるよ」
その直後に、呼び鈴が響く。
そして、扉を叩く音。
「開けて?一緒に寝たいなぁ…」
「顔を近くで見たい。」
助けて――
助けてよ――
涙は昨日のうちに枯れてしまってもうでない。
耳を塞ぐように倒れこむ。
「…今日はもういいや、また明日来るね。…愛してるよ――」
そして通話は終了。
まだ心拍が落ち着かないし、汗も掻いているけど、なんかもう疲れてしまった。
またまどろみへと導かれたすぐ後に鍵が開く音がしたけど、私にそんな思考力が残っているわけもなくて、お母さんかお姉ちゃんが帰ったのだろう…と考えてそのまま目を閉じていった。
ラッキーアイテム
革ベルト
112人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Cosmo*(プロフ) - 続編お願いします(^ω^ ) (2014年8月14日 11時) (レス) id: c81614e472 (このIDを非表示/違反報告)
にぃな@(´∂`)(プロフ) - 続編すごくみたいです! (2014年8月14日 0時) (レス) id: e840fe8aba (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - 続編お願いします!! (2014年8月13日 23時) (レス) id: d18fffc1e9 (このIDを非表示/違反報告)
槊鵺(プロフ) - ティトンさん» ありがとうございます!色々考えてみますっ! (2014年8月13日 19時) (携帯から) (レス) id: 14b4575316 (このIDを非表示/違反報告)
ティトン(プロフ) - 槊鵺さん» 続編щ(・∀・´щ)カモン (2014年8月13日 18時) (レス) id: f426aa4903 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:槊鵺 | 作成日時:2014年7月15日 23時