灯台下暗し【津田健次郎】

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レコーディングあって､明日の準備をしてたら
珍しく日付が変わってた｡


自分の家に戻ってもいいんだけど､少し仕事現場から遠いし､

佐紀が美味しいご飯作ってくれてるらしいから
私は佐紀の家に向かっていた｡


それにしても...モヤモヤする...


流石に仕事まで引きづらないけど...


なんだろう...この気持ち



一人歩きながらそんなことを考えてると

前から怖そうな集団が来るのが見えた｡

なるべく関わりたくないから私は端っこによる｡


私の横を集団が通りすぎてほっとした時だった


「よぉ！ねぇちゃん」

ビクッ

後ろから声をかけられた｡

「1人なの？お兄さん達と遊ばない？」

こっちに寄ってくる...

「なに無視しちゃってるの？ねぇ遊ぼうよ」


どうしよう...怖い...怖い...



『お母...さん』

ハッとその瞬間思い出したくない過去がフラッシュバックしてきた｡



.



『おりゃ！早く返さんかボケ！！』

『娘さんおるんやろ？』

ドンドンドンドンドンとなるドアの音

そして鳴り止まない罵声


やだ...やだ...お母さん...助けて...



.




「そこでなに女の子いじめてるんだよ」

...えっ？


最近毎日聞いてる気がする声が聞こえてきた



まさか...そんなはずは...



目の前に立った男性を見上げると



「津田...さん？」



紛れもなく津田さんだった

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