五十九話 ページ28
Nosaid
支離滅裂で、脈絡もない、薬研らしくない物言い。
しかし、それはその分、その言葉が彼の本心であるということを物語っていた。
とうとうこぼれ落ちた涙を無茶苦茶にぬぐう薬研を見て、Aが言った。
「…薬研。私は、絶対にあなたを、あなたたちを達を捨てたりなんかしない」
それは、揺らがぬ決意だった。
「私はね、賭けに負けたの。そして、あの場所を去った。あの場所に未練はない。だって、誰も」
誰も助けてくれなかった。
その言葉には、悲しみとも怒りともつかない不思議な感情が含まれていた。
「…皆が幸せになれるならって、そう思ってあの時言葉をつきつけた。…でも、それだけじゃない」
その顔に浮かぶのは苦痛だった。
「本当は、気づいてほしかった！私はそんなこと言う人間じゃないって！全部偽物の話なんだって！言ってほしかった！なのに、なのに！誰も、三日月も一期も今剣も蜻蛉切もみんなみんな何も言ってくれなかった！誰も助けてくれなかった！わかってる、これは我が儘よ！でも、だけど、だって」
ぽたぽたと涙を落とし、少女は呟く。
「…大好きだったんだよ。信じてみたかったんだよ。あの場所も、皆も」
誰も信じてくれずに、本当は少女はすべてに絶望してあの場所を去ったのだ。
「…被害者面だって言われてもいい。自業自得だって言われてもいい。それでも、それでも私は」
その言葉を遮ったのはAを抱き締めた薬研だった。
薬「…悲しかったよな。苦しかったんだよな。…ごめんな、大将。俺っち、大将を追い詰めちまった」
「…私だって、薬研を追い詰めた。お互い様だよ」
薬「ははっ、そりゃそうだな。…でも良かった。…俺たちは、これからも大将の仲間でいられそうだ」
「…当たり前だよ、馬鹿」
そう言って、一人と一振りは泣き笑いした。
それは、あまりにもつたなくて幼稚な、子供の約束のような誓い。
_______けれどもそれは、確かな信頼と愛情の誓いだった。
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たまにはこんな薬研君もいいじゃないですか(盛大なキャラ崩壊に対する言い訳&お詫び)
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七味 - 凄く面白かったです！！ブラック本丸ネタでこんなに面白い作品はじめて！続きが気になります。更新頑張ってください！ (2019年6月5日 7時) (
レス) id: fbf27e6ba4 (このIDを非表示/違反報告)
ライラック - 盲亀さん» ありがとうございます！がんばります！ (2018年5月16日 20時) (レス) id: 75a1a6830c (このIDを非表示/違反報告)
盲亀 - 鶴さんとってもかっこいいです！！更新頑張ってください。楽しみにしてます！ (2018年5月15日 17時) (レス) id: 71e9f65bc5 (このIDを非表示/違反報告)
ライラック - 睦月乃さん» ありがとうございます！鶴丸国永の歴史を聞いてたぎった勢いで書いたので…こんな鶴さんもありかなー…という妄想ですw (2018年5月8日 19時) (レス) id: 75a1a6830c (このIDを非表示/違反報告)
ライラック - ミリアさん» コメントありがとうございます、頑張ります！コラボも楽しそうですね…！ (2018年5月8日 19時) (レス) id: 75a1a6830c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ライラック | 作成日時：2018年3月7日 12時
