五十五話 ページ24
鶴丸said
_____俺は、何振り目かの鶴丸国永だった。
前の審神者のことはよく覚えている。彼女は、横暴で、他人のことは考えずに刃を振るう、恐ろしい人間だった。
その審神者のもとに顕現されたとき、その本丸には既に一振り目の俺がいた。
その時彼女が欲していたのは俺ではなく、鶯丸だった。
落胆した審神者は俺に興味を失い、信じたくなかったが適当に折っておけとそう言った。
『その刀は折っても何も面白くないのよ。いつも笑顔で折れていくだけで』
だから、私が折るまでもないわ____
その言葉に、今でこそ怒りが湧くが、当時の、顕現されたての俺にはそれが恐ろしくて仕方なかった。
そんな俺を救ったのは、意外にもその本丸最初の鶴丸だった。
『まぁ、そう言うなよ主。案外使えるかもしれないぜ？』
その言葉に何故考え直したのかはわからなかったが、ともかく俺はその本丸で暮らすことになった。
酷いところだった。できることなら思い出したくない。
そんなある時、一振り目の俺が、折れた。
俺はその折れた鶴丸の代わりをさせられることになった。
…今思うと、一振り目の俺は何となくそうなることを予測していたのかもしれない。だからあの時俺を生かしたのかもしれない。
そのことに気づいたのは一振り目が折れてから数ヵ月後、戦場で、無理な進軍をさせられて折れそうになった時だった。
傷だらけになった俺は、これじゃ鶴じゃなくてフラミンゴだ、と軽口を叩いて、そして重症ですんだ刀達を逃がした。
自分が行けば足手まといだということは自分が一番わかっていた。
嫌がる仲間を無理矢理に返し、そしてそのまま横になった。
自分はここで折れるのだと。そう思って静かに目を閉じた。
俺の刃生はそこで終わるはずだった。
『…おい、あんた、大丈夫か？』
________そう言って、心配そうに自分をのぞきこんだ、あの刀たちに出会わなければ。
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七味 - 凄く面白かったです！！ブラック本丸ネタでこんなに面白い作品はじめて！続きが気になります。更新頑張ってください！ (2019年6月5日 7時) (
レス) id: fbf27e6ba4 (このIDを非表示/違反報告)
ライラック - 盲亀さん» ありがとうございます！がんばります！ (2018年5月16日 20時) (レス) id: 75a1a6830c (このIDを非表示/違反報告)
盲亀 - 鶴さんとってもかっこいいです！！更新頑張ってください。楽しみにしてます！ (2018年5月15日 17時) (レス) id: 71e9f65bc5 (このIDを非表示/違反報告)
ライラック - 睦月乃さん» ありがとうございます！鶴丸国永の歴史を聞いてたぎった勢いで書いたので…こんな鶴さんもありかなー…という妄想ですw (2018年5月8日 19時) (レス) id: 75a1a6830c (このIDを非表示/違反報告)
ライラック - ミリアさん» コメントありがとうございます、頑張ります！コラボも楽しそうですね…！ (2018年5月8日 19時) (レス) id: 75a1a6830c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ライラック | 作成日時：2018年3月7日 12時
