五十四話 ページ23
Asaid
思えばこの鶴丸国永は随分と変わった刀だった。
顕現させた当初はまるで借りてきた猫のようで、噂に聞いていた性格とは随分違うのだなぁ、と思ったのを覚えている。
確かに噂の通りに落とし穴を掘ったり謎の青いジュースを作ったり、驚きは提供していたが、ふとした時に情緒不安定とでも言うのだろうか、ついさっきまで笑っていたと思うと突然泣き出したりした。
彼を知る刀たちは首をかしげていたが、まぁ、こういうこともあるのだろうと私はあまり気にしていなかった。
そんなある時、私は久しぶりに出かけた現世の本屋で可愛らしい絵本を見つけ、短刀たちに見せたら喜ぶかなと何気なくその絵本を買って帰った。
帰ったのは夜も遅かったのでそれは次の日に開けようと執務室の机の上に置いてそのまま寝てしまった。
その日の夜のことだった。何となく寝苦しくて夜中にふと目が覚めてしまった。
水でも飲もうと廊下に続く道、もとい執務室へと足を踏み入れてぎょっとした。
その日は綺麗な満月で、執務室は青白い光で満たされていた。そしてそこに、机に向かって何かを一心に眺める鶴丸国永の姿があったのだ。
一瞬不審者かと思い叫び声をあげそうになったが正体に気づいてすんでのところでそれを押さえる。
こちらの気配にも気づいていないらしい鶴丸は変わらずに何かを読んでいた。何を見ているのかとそっと近づくと、それは今日買った絵本だった。
「鶴丸」
声をかけるとぎょっとしたように彼が後ろを振り向いた。その顔に涙が伝っているのを見てこちらが動揺してしまう。
鶴「あ、主…」
「ど、どうしたの？どこか痛いの？」
鶴「す、まない、勝手に」
「大丈夫？」
噛み合っていない会話だったが何となく通じてもいた。
鶴「…主は、よくこういうのを買ってくるのか？」
「え？う、うん、まぁ時々…」
鶴「…そうか」
嬉しそうに笑った鶴丸は、それからぽつりぽつりと語ってくれた。
自らの過去と、その境遇を。
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七味 - 凄く面白かったです！！ブラック本丸ネタでこんなに面白い作品はじめて！続きが気になります。更新頑張ってください！ (2019年6月5日 7時) (
レス) id: fbf27e6ba4 (このIDを非表示/違反報告)
ライラック - 盲亀さん» ありがとうございます！がんばります！ (2018年5月16日 20時) (レス) id: 75a1a6830c (このIDを非表示/違反報告)
盲亀 - 鶴さんとってもかっこいいです！！更新頑張ってください。楽しみにしてます！ (2018年5月15日 17時) (レス) id: 71e9f65bc5 (このIDを非表示/違反報告)
ライラック - 睦月乃さん» ありがとうございます！鶴丸国永の歴史を聞いてたぎった勢いで書いたので…こんな鶴さんもありかなー…という妄想ですw (2018年5月8日 19時) (レス) id: 75a1a6830c (このIDを非表示/違反報告)
ライラック - ミリアさん» コメントありがとうございます、頑張ります！コラボも楽しそうですね…！ (2018年5月8日 19時) (レス) id: 75a1a6830c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ライラック | 作成日時：2018年3月7日 12時
